ハードオフお買物日記(2009年12月12日)
ONKYO プリメインアンプ A-705DC編

ONKYO プリメインアンプ A-705DC (1977年発売 75,000円)
2009年12月12日(土)ハードオフ村上店で購入 525円(ジャンク品) 状態表示:片チャンネル音出ません

見た目的にもあまりパッとしないデザインで、なおかつシルバーであったであろう正面パネルが、
汚れの付着によってシャンパンゴールドのような何とも言えない妙な雰囲気を醸し出していました。
値札には「片チャンネル音出ません」と書かれています。
この値札を見て、いつもの「何とかなるだろう病」の症状が現れてしまい、
自分の技量も省みずに買ってきてしまいました。


(以下・オーディオピープル1977年11月号より引用)
インテグラDC&DCシリーズとして、708に続き、70W+70Wの705が発表された。
DCアンプのメリットはいまさら言うまでもないようであるが、
同社は積極的にDC方式を推進しEQアンプにも採用している。
面白いのはRIAA-EQアンプが、NF、CR併用型であることで、
NFアンプのキャラクターが云々されることの多くなった現在、
その音色が注目される。

〔おもな定格〕
定格出力/70W+70W (20Hz〜20kHz, 8Ω両CH駆動)
全高調波ひずみ率/0.02%以下(20Hz〜20kHz, 定格出力時)
外形寸法/438(W)x150(H)x390(D)
重量/14kg


この「何とかなるだろう病」というのは非常に厄介な病気で、
結局何ともできずに廃棄処分した品物も数知れず。
にもかかわらず気が付くとまた別の品物をレジへ運んでしまうという病です。

どうせ500円だし、使えなかったら部品取りにすればいいや、とは考えてみるものの、
取った部品を使うあてがあるわけでもなし、ガラクタの山がどんどん高くなる一方です。

さてこの「片チャンネル音出ません」という表現ですが、
果たしてABのスピーカーの両方とも同じ症状なのか、
ヘッドフォン出力も同じなのか、値札から計り知る術もありません。



動作確認

まず最初に内部のチェックを行いましたが、目視で分かるような大きな不具合はなさそうです。

基板には時代なりのホコリが堆積していましたので、大きなホコリだけ軽く払い去ります。
そしてTUNER端子にCDプレイヤーを接続して、ヘッドフォンをつないで電源オン。
数秒経過後に保護回路が解除されたと思われる「ピン!」という音がして、
ヘッドフォンからはCDの音が流れてきました。それも両チャンネルからです。
ということはヘッドフォンはOKで、スピーカーがNGということになりそうです。


終段にはサンケンの2SC1116と2SA747が2組使われています。

このトランジスタは評価の高い部品のようですが、左右でロットが異なっており、色合いも微妙に異なります。
特に写真で一番左側(Lch)の2SC1116は他の3つに比べて光沢もあり、書体も微妙に違っています。
もしかすると比較的最近に交換されたのかも知れません。

そのあとCDを2〜3枚演奏しながら、変な匂いや煙が出て来ないかをチェック、
その間を利用して正面パネルとツマミ類の清掃を行ないました。
ツマミ類に関してはボリウムの大きなツマミの取り外しに六角レンチが必要な以外は、
全て単純に引き抜けば良い構造になっていて、
正面パネル自体も上下5本のネジを外すだけで簡単に取り外すことが出来ました。
清掃後は購入直後とは見違えるほどキレイになりましたが、
ツマミ類は最初から若干黄色がかった色合いになっているようです。

パネルもキレイになったところで次はスピーカー出力のチェックを行いました。
ところがAB、A+BのいずれもOK、両チャンネルともに正常に音が出ます。
スピーカーセレクターを何回か切り替えてみても、
音が出にくくなるという症状は見られないようです。
値札の「片チャンネル音出ません」という表記は何だったのでしょうか。


ニチコン19000μF 63WV NEGATIVE BLACKが2本使われています。

検索しても全然出てきません。もう入手できないのでしょうね。

いろいろやっているうちに、セレクタスイッチのTUNERとAUXを切り替える時や、
テープモニタースイッチの操作時などに、片チャンネルの音が出にくくなることがありました。
片チャンネルの音が出ないというより「スイッチ類に接触不良あり」というのが適切かも知れません。

スイッチ類の接触不良に関しては、時間の経過とともに徐々に改善してきましたので、
分解清掃等は行なわず、とりあえずそのままにしてあります。
そして電源を切った後、内部の細かいホコリや汚れを落とすことにしました。


背面側から内部を見る。

写真中央に見えるパワーアンプ基板に使われているトランジスタは、
Rch(写真左側)とLch(写真右側)とで、違うものが使われている箇所があります。
この写真では分かりにくいですが、ヒューズも見た目が微妙に違うものが使われています。

そこでヒートシンクに密着しているなどの理由で定格が読めないものを除いて、
目視で確認できる範囲でトランジスタの型番を調べてみました。
Rchが600番台、Lchが500番台で、左右対称に配置されているようです。

左右で同じ型番のトランジスタが使われているものでも、リード線の変色の度合いなどから考えて、
交換されたものがあるような「気がします」。
半田面にもLch側に部品を交換したと思われる形跡が多く見られます。

Rch(写真左側)                   Lch(写真右側)
   (Q606)
2SB646
 
(Q605)
2SA798
 
(Q602)
2SC2088
 
(Q603)
2SC2088
(Q503)
2SC2240GR 
(Q502)
2SC2240GR 
(Q505)
2SA798
 
(Q506)
2SA949 
  
(Q610)
2SD666 
(Q611)
2SB646 
                  (Q511)
2SA949 
(Q510)
2SC2229Y
(Q612)
2SD669
 
(Q613)
2SB649
 
   (Q601)
μPA63H 
      (Q501)
μPA63H 
   (Q513)
2SB649緑
(Q512)
2SD669
 
          (Q608)
2SD666
 
(Q604)
2SC1681BL
          (Q504)
2SC2240GR
(Q508)
2SC2229Y
         

上の表で青字で書かれたものは交換されたものではないかと思われるもの、
また赤字で書かれたものはリード線が黒く変色しているものを表します。

推測するに、Lch側に何らかの問題が生じたためにトランジスタを交換したのではないかと思いますが、
Rch側も大多数のトランジスタのリード線が変色しているにもかかわらず交換された形跡がありませんでした。

2SC2088や2SC1681BLが2SC2240GRに交換されているのは多分問題ないのではないかと思いますが、
コンプリ関係にある2SB646と2SD666が、2SA949と2SC2229Yに交換されているのがやや気になります。


とりあえずTUNER入力とAUX入力のみの確認で、PHONO入力やTAPE端子の確認は行っていませんが、
確認した範囲内では両チャンネルともに正常に動作しているようです。
音質も非常に優れていて、ボーカルが生々しく聴こえる印象を持ちました。
丸一日使ってみましたが異臭や異音の発生もなく、異常な発熱も見られないようです。
時間を見てPHONO入力とTAPE入力の確認をしてみようと思います。
とりあえず今回は外部と内部の清掃を行なったのみで、手直しなどは行わずに済みました。
しばらくはこのままで様子を見ようと思います。


(2009年12月27日追記)

買ったときには気付かなかったのですが数日経ってからLchの音に歪みが生じていることに気付きました。
具体的にいうとピアノなどの音の強弱に合わせるようにジュルジュルという音がまとわり付いてくるというか、
FM放送でマルチパスが生じている時のような不快なノイズが聞こえてくるという症状です。

実は買った直後にはCDを何枚か演奏して音出し確認をしたのですが、、
その後は受信状態の悪いFM新発田ばかり聞いていたので気付かなかったのです。
受信状態の良いNHK-FMを聞いたときに変なノイズが聞こえることに気付いた次第で、
改めてCDで確認したところ同様のノイズが出ることが確認されました。

パワーアンプ基板上には左右各2個の半固定抵抗器が設置されています。
その中でLch側のBALANCEと書かれた半固定抵抗器(R507)を時計方向に少し回してやったところ歪みは消えました。
しばらく試聴しても異常が見られないためにこれでOKと思ってスピーカースイッチをOFFにしたところ、
Lchのスピーカーからさほど大きくはありませんが「ボン」という音が出てきます。
おそらくDC漏れを起こしているに違いありませんが、手持ちのアナログテスターでは測定できないため、
半固定抵抗器の位置を元に戻しておきました。当然再びノイズが発生しています。

もしかして2SB646/2SD666が、2SA949/2SC2229Yに交換されているのが怪しいんじゃなかろうかと思い、
通販で部品を取り寄せて2SA949/2SC2229Yを2SB646/2SD666に戻してみました。
そしたら見事に歪みが消えました。
測定器レベルではどうか分かりませんが少なくとも管理人の聴感上では。
当然「ボン」という音も出てきません。ヨシこれでOK!

と思いきや…。


(2009年12月28日追記)

聴感上の歪みもなくなって、これで一段落と思ったのですが、
しばらく経ったところでLch側の終段のトランジスタの発熱が大きくなっていることに気付きました。
発熱が大きいといってもチンチンになっているとか、そんな状態ではないのですが、
明らかに今までとは異なります。なおかつ左右で発熱の度合いが全然違っています。
おそらく左右でアイドリング電流が大きく異なっているのだろうと思いますが、
手持ちのアナログテスターでは計ることができないため、村上のムサシでデジタルテスターを買ってきました。


サンワのPM3、ムサシで税込2990円でした。
ワニ口クリップ付きのクリップアダプタCL-11(630円)も同時に購入しました。

デジタルテスターを買ったは良いものの、一体どこを計れば良いものやら…。

基板上にはテストピンと思われる3本のピンが設置されています。
上から順にIID、E、VCTという表記があります。
その表記を元にしてネットで検索したところ、
IIDとVCTの間を測定すれば良いことが分かりました。

Rch側のテストピンです。


最初に部品が交換されていないと思われるRch側を測定してみたところ、17mV程度の数値が表示されました。
次に発熱の大きいLch側を測定してみたところ、70mV程度の数値が出てきました。
このアンプのアイドリング電流の適正値がどのくらいなのかは良くわかりませんが、
とりあえず発熱の少ない方に合わせておけばいいかなという考えで、
両chともに20mV程度になるようにR522とR622の調整を行いました。
その結果、左右での発熱の差は殆どなくなり、ほんのり暖かくなる程度に収まりました。
厳密にいうとLch側がやや暖かく感じられるのですが、多分すぐ横に電源トランスがあるからでしょう。

(続く)

HOME

2009年12月13日
(2009年12月27日第一回追記)


安良町交通博物館 管理人:安良町経由村上行き

Copyright(C)2009 "Aramachi Transport Museum". All Rights Reserved.