ハードオフお買物日記(2006年6月4日掲載)

トリオAM-FMステレオチューナー KT-4005編

トリオといえばチューナー、チューナーといえばトリオと言われるほど、
オーディオファンの間では突出した人気を誇っていたトリオのチューナー、
今回は1970年代半ばに発売されたと思われるKT-4005という機種をご紹介致します。

TRIO SOLID STATE AM-FM STEREO TUNER KT-4005
2006年5月31日ハードオフ村上店で購入ジャンク品 1,050円


ハッと息を飲むようなこの雰囲気。当時はオーディオ機器を所有することは一つのステータスのようなものでした。
この機種は下位機種のためにファンクション表示は「FM STEREO」の表示灯がひとつあるだけ。


 

この種の製品はネットで検索しても殆ど情報が得られないので感度やSN比等のスペックは不明だが、外観が似たものとしてはKT-3005、4005、6005、7007、9007などがあり、数字が大きくなるほど高級品になることから、今回入手したKT-4005は比較的安価な、いわゆる普及機種だったものと思われる。外観はアメリカンスタイルとでも言えるであろうか、その後に発売されたスタイリッシュなデザインの機種とは一線を画し、レトロな雰囲気かつ重厚で存在感のあるデザインとなっている。比較的下位機種にもかかわらずサイドウッドを装着しているため、重厚な雰囲気は上位機種となんら遜色がない。




PSE騒動の影響で一時スッカラカン状態になっていたハードオフのジャンクコーナーであるが、徐々に新たな商品が並ぶようになってきた。5日ぶりに訪れた同店で発見したのが今回購入したKT-4005という機種である。
まずは外観のコンディションの良さに目が行った。30年程度経過しているにもかかわらず大きな傷や汚れ、サビなども殆ど見られない。正面の透明パネルには大き目の擦り傷が数箇所見受けられたが、コンパウンドで軽く磨いてやるだけで消えてしまった。右側のサイドウッド正面に三角形の剥がれが見られたので、手持ちの類似機種のサイドウッドと交換した。



動作確認

 

黒いバックに緑色に浮かび上がるメーター部分、ダイヤルの指針の形ひとつにもこだわりが感じられる。

帰宅後に早速FMアンテナを接続、恐る恐る電源を入れてみた。無事電源は入ったしランプ切れもないようだ。通風孔からはオーディオ機器に通電したときに特有の匂いが漂ってきた。ここで変な匂いがしたり煙が出たりすればそのまま粗大ゴミ行きとなるところであるが、どうやら問題なさそうだ。

アンプに接続してチューニングを合わせるとシグナルメーターがいっぱいに振れ、キレイな音が流れて来た。年数が経過しているにもかかわらず感度の低下は殆どみられないようで、ブースターを使用していることもあって、FM新津やFM新発田も入ってくる。ダイヤルの指針のずれもなく、FM-PORTがぴったり79のところで受信できるのは実に気持ちが良いものだ。数時間受信してみたが同調ずれもなく安定した受信状態を保っている。AMは感度がやや低いように感じられるがFMはこのまま無調整で行けそうな感じである。ただし主にNHK-FMでジュルジュルというマルチパス音が聞えるのは、距離を考えれば止むを得ないところであろうか。(以前は8エレメントのFMアンテナを使用していたが、地デジ用のアンテナを設置するスペースの関係で5エレメントのアンテナにグレードダウンした影響が出ているのかも知れない)


KT-4005のフロントエンド部分

バリコンはAMが2連、FMが3連のものが使われている。
まだICは使われておらず、トランジスターが十数個使われていた。左奥の方の丸い穴の中に一つだけランプが装着されているのが確認できる。
この機種には「FM STEREO」の表示灯しか装備されていないが、上位機種になると「MUTING」や「MPX FILTER」等の数個の表示灯が装備されるので、残りの穴にもランプが装着されるものと思われる。この当時は現在よりも部品の共通化が進んでいたような気がしないでもない。


シャーシ内にはかなり余裕が見られる。


上位機種になれば部品点数が増えるのでもっと凝縮された感じになるのだが、このクラスではこんなもの。


ダイヤルメカは古典的な糸掛け方式。


フライホイールが装着されている割にはダイヤルの回り具合は良いとはいえない。


一般的な部品が整然と並ぶ。


構造は単純であるが耐久性は今の製品の比ではない。
特殊な部品を使用していないので、壊れても今でも修理可能なのがありがたい。



背面パネルの様子。

背面にはハードオフで自主検査を行なった証のPSEマークが貼付されている。
AC100Vと117Vの切換えスイッチが設けられていることから、輸出モデルと共通設計だったと想像される。


背面入出力端子の様子。
  

(写真左)背面にはAM用のバーアンテナが装着されている。音声出力は可変の1系統のみで、背面にボリウムが取り付けられている。
FM MULTIPATH OUTPUT端子は、オシロスコープ等に接続してマルチパスの様子を見るためのもの。

(写真右)FMアンテナ入力は75Ωにも対応しているがF型コネクタが使用できないために操作性は良くない。
整合器で300Ωに変換してから接続したほうが簡単そうである。


今回入手したKT-4005は30年程度経過しているにもかかわらず感度の低下等も見られず、
外観や内部の汚れも少なく良好なコンディションでした。
1,050円という値段が安いのか高いのかは意見の分かれるところでしょうが、
ヤフオク等でももっと高い値段で出品されていることもありますし、
送料や送金手数料等を考えると1,050円という値段は決して高いとは言えないと思います。
たまにこういった掘り出し物が入手できるのでハードオフ通いはやめられそうにありません。

実はこの機種は、2月に新発田店で購入したKT-6005への部品供給用として購入したものでした。
ところが色々チェックしていくうちに今回購入したKT-4005の方が状態が良いことが判明、
急きょこちらを生かすことに計画を変更、KT-6005からKT-4005へサイドウッドを供給することで落ち着きました。

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2006年6月4日
安良町交通博物館 管理人:安良町経由村上行き

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