未だにオフィシャル発売されないBEATLESの映画"LET IT BE"ですが、
非公式で発売されている商品のうち、何点かを比較してみました。
なおここに掲載の商品は全て非公式商品ですので積極的な購入をお勧めするものではありません。(2011年4月28日掲載)
The Beatles "Let it be" SPECIAL"J" EDITION (初版) (IDOL MIND PRODUCTION IMP-507V) 1DVDR 参考価格4800円 |
(以下メーカーインフォより)
ネイティヴ・アメリカンでも聞き取り困難、及び意味不明な箇所多数の本作品のダイアローグを、
60年代に10代を過ごした英国出身の在米サウンド・エンジニア=Black Valentineが入念にヒアリングを行い、
IMPとの共同作業で2ヶ月以上をかけて検証と翻訳を行った、空前絶後の意欲作!
日本のTV放映時の字幕では、全体の10%程度しか翻訳されておらず、しかもその内容には「?」を感じざるを得ませんでしたが、
今回そのモヤモヤを払拭すべく、作中に飛び交う主要ワードのほとんどをヴィヴィッドに日本語化!
オフィシャルでもここまではやれないであろうと断言できるほどの入魂のワーディングです!
ジョンが乱発する唐突でキワドいジョーク、ポールとジョージの緊張感あるあの場面のやりとり、10代の頃の作曲回想シーン、
インドでの滞在を撮影したフィルムの感想など、今までの翻訳字幕は何だったのか〜と驚くこと間違いありません。
これを見ずしてビートルズは語れない最重要アイテムとなってIDOL
MINDから登場です!
オープニング画面
このあと英語によるタイトルが表示された後、メニュー画面なしで直接本編に移行します。
このロゴマーク、アナログブートを集めていた方にはキュンと来るものがあると思いますが、
往年のIMPのロゴマークをそのまま使用しています。
昔のアナログ盤のIMPレーベル
しかし良く見るとアナログ盤は"IDLE MIND PRODUCTIONS"という表記なのに対して、
DVDの方は"IDOL MIND PRODUCTION"と表記されています。
いわゆるアイドルという意味であればIDOLの方が適切だと思うのですが、
昔のアナログ盤は何故怠け者などを意味するIDLEを使っていたのでしょうね。
もし意図的に使ったのではなくて単なる誤植だとすれば、
このアナログ盤のレーベルは日本を含む英語圏以外の国で作られた可能性もありそうですが、
詳しくは良く分かりません。
かなり横道にそれてしまいましたが…、
このDVDはシースルーのケースに両面印刷のスリーブが使われていて、紙質や印刷品質も優れているほか、
初版250セットにはポストカードが付属するなど豪華な作りになっています。
しかし値段が高い割にはプレスDVDではなくDVD-Rが使用されているなど、かなり割高感が感じられます。
映像は過去に海外でオフィシャル発売されていたレーザーディスクの映像に近いように思えます。
また仕様かどうかは分かりませんが私が入手したものは、特に最初の部分にブツブツという音声ノイズが目立つ箇所がありました。
このDVDの最大の売りは2ヵ月以上かけたと言われる字幕スーパーですが、細部にわたって非常に細かく翻訳されていて、
特にポールとジョージの口論のシーンなど、当時の人間関係が良く分かる内容になっています。
その反面、会話が交錯する箇所では字幕の切り替わりが早く、目が付いて行かない箇所もあります。
また「てゆーか」「ニューハーフ」「おネエ」「カンペ」など、今風の言葉に翻訳されていて違和感が感じられる部分もありました。
とはいえ今までの翻訳は一体何だったのかと思わせる部分も多く、非常にマニアックな作りになっています。
初版は既に売り切れらしく、ジャケットの色の違う第二版が出回っているようです。
The Beatles "Let it be" Complete Widescreen Stereo Edition (BEATLES VIDEO PROJECTS BVP-10)1DVDR 参考価格2680円 |
(以下メーカーインフォより)
1970年ザ・ビートルズ解散と共に公開された映画「レット・イット・ビー」は最後のビートルズの姿をとらえたファン必見映像ですが、
今だ公式にはDVD化されておらずこれまで数多くのTV放送版やビデオあるいはLDコピー等が出回ってきましたが2011年最新バージョンの登場です!
かつて一度発売されたビデオ映像は画質も良くなく音はモノラルでTV放送にしても同様のレベルでしたが今回は16:9のワイドスクリーン、
そして音声はリマスタリングされたステレオ音源でベスト・クオリティに生まれ変わっています。
またオリジナルの映画版モノラル音声にも切り替えることができるのでクオリティの向上がはっきり聞き比べられます。
今だ公式アナウンスのない映画「レット・イット・ビー」の最新アップグレード・エディションとして大推薦のリリースです!
オープニング画面
このメニュー画面からチャプターや音声を選ぶようになっています。
バックには"LET IT BE"が流れているのですが、本編終了後はこの画面に戻って延々と"LET IT BE"が流れ続けます。
本編の始まりの部分の"UNITED ARTISTS"のロゴマークはカットされています。
なおこのDVDには字幕は付けられていません。
ケースはごく普通の黒いケースで、スリーブは片面印刷です。
インクジェット紙のような薄手の紙が使われていて光沢も殆どありませんが、印刷品質は悪くはないようです。
オリジナルサイズの映像を16:9にするに際してトリミングで上下がカットされていますが、左右もわずかにカットされているようです。
トリミングされているということはオリジナルに比べて情報量が減少していることになりますが、
個人的にはフルスクリーンで見ることが出来る有難さの方が上回っているようです。
画質は派手さはありませんがレーザーディスクのような黒つぶれも少なく自然な色合いです。
ただし所々に劣化したレーザーディスクのような映像ノイズが現れる部分がありました。
音声は別に発見されたテープの音声に差し替えられているようで、
アップルスタジオ部分とルーフトップコンサート部分の曲の多くはリアルステレオで収録されています。
ただしオリジナル音声では、ルーフトップコンサート部分で街の様子が映っている時に曲にエコーがかけられていますが、
リマスター音声ではそこまでは再現されていませんでした。
市民へのインタビューは漏れなく収録されています。
今回リマスターされた音声は非常にクリアで音質が良いのですが、ピアノの高い音などがやや弱くなるようで、
ポールとリンゴがピアノを一緒に弾く部分では音がかなり弱くなっている印象があります。
同様に"Maxwell's Silver Hammer"でマル・エヴァンズがハンマーを叩きつける音もかなり弱く感じられました。
LET IT BE 特別版(メーカー名、番号なし) 1DVDR 3000円位? |
このDVDは数年前にYahoo!オークションで購入したもので、当時のメーカーインフォメーションは残っていませんが、
確か16mmフィルムを元にした映像に字幕を付けたものだったと記憶しています。
ただし字幕は会話部分に限られていて、曲の部分には字幕は入っていません。
どうでもいいことですが、裏ジャケットには「特別版」と表記されているのに対して、レーベルには「特別盤」と表記されています。
オープニング画面
プロモ映像と思われる映像がしばらく流れた後にこの映像が現れ、再生シーンを選べるようになっています。
ゲットバックのPVやアウトテイク集も収録されています。
確か16mmフィルムからのノートリミングが謳い文句だったように記憶していますが、
実際にはルーフトップコンサート部分を中心に、レーザーディスクと同様にトリミングされた映像が含まれています。
"Let It Be"の開始直後から"The Long And Winding Road"の終了直前にかけて画質の良い映像が挿入されており、
上の写真のように"Let It Be"の歌い始めの部分と途中の部分とでポールの顔色が全く違っています。
また致命的なことに"Let It Be"のイントロのピアノの一番最初の音が一音欠けています。
発色は結構良いのですが全体的にぺったりした画質で暗部も潰れ気味という印象があります。
各DVDのの比較 |
ご紹介した3種類のDVDに関して、同じシーンでの画角や画質を比較してみようと思います。
上が特別版、中がSPECIAL"J" EDITION、下がWidescreenです。
Maxwell's Silver Hammer 特別版 オリジナルに近いと思われる映像ですが、全体的に暗い感じがします。 SPECIAL"J" EDITION 上下左右がかなりカットされていますが違和感はあまりありません。 発色は良いのですが暗部の潰れが感じられます。 Widescreen 上下(特に下の部分)が大きくカットされていますが、左右もわずかにカットされているようです。 全体的に淡い発色ですが、3種類の中では一番自然な色に感じられます。 |
ジョージ感電シーン 特別版 背景が独特な発色に感じられますが、顔色はまずまず自然な部類に思えます。 SPECIAL"J" EDITION たびたびこの色の顔が出てきますが、 欧米人にとってこのような色にされるのはちょとアレでしょうね。 Widescreen 背景も顔色も自然で、やっと欧米人らしい顔色になりました。 |
Two Of Us 特別版 黒い部分が潰れ気味で全体的にペッタリとした画質に感じられます。 SPECIAL"J" EDITION 右下のジョンとヨーコを意図的に消したのでしょうか、右側が大きくカットされています。 でもこの画像だけ見ると何の違和感も感じられません。 Widescreen 右下のジョンとヨーコの後ろ頭が見えるようになった反面、 ポールのギターネックの先端部分が見えなくなったのが残念です。 画面をもう少し左に振ると今度はジョンとヨーコの頭の入り具合が中途半端になってしまいますし、 このシーンを上手くトリミングするのは難しそうですね。 |
Get Back 特別版 画角は下のSPECIAL"J" EDITIONと殆ど同じです。 画質も大きな違いは見られません。 SPECIAL"J" EDITION 画角は上の特別版と殆ど同じです。 画質も大きな違いは見られません。 Widescreen 左端のリンゴと右端のオノヨーコの姿が見えるようになりました。 ポールの足元が映っていないのがやや残念です。 淡い色ですが一番自然な発色に感じられます。 |
Don't Let Me Down 特別版 画角は下のSPECIAL"J" EDITIONと殆ど同じです。 画質も大きな違いは見られません。 SPECIAL"J" EDITION 画角は上の特別版と殆ど同じです。 画質も大きな違いは見られません。 Widescreen ポールとジョンの表情が良く見えるようになりました。 オリジナルはもっと良く見えているものと思われますが上等でしょう。 (参考)日本でテレビ放送された時のバージョン(ALL GREENレーベル) 腕だけ映っていて誰が誰だかサッパリ分かりません。 |
ところでこの作品は何故正式DVDとして発売されないのでしょうか。
数年前に一度正式発売の発表があったのですが、立ち消えになってしまい今に至っています。
オフィシャル発売されない理由としては、版権が多岐に亘っているため許可が得られないという説や、リマスターに時間が掛っているという説、
また人間関係が最悪だった時期にダラダラとセッションを続けていて、映画としては駄作であるためビートルズとしてのイメージを壊したくない…、
またそれに関連してポールが反対しているなどという様々な仮説があるようです。
しかしリマスターに関しては時間を掛ければできることだと思いますし、
様々な暴露話も出てきていることから、今さらイメージ云々というのも考えにくい。
また公開当時は駄作だったとしても40年と言う時の流れは駄作を名作に変えるのに十分な時間だとも思います。
とするとやはり権利の問題か、ポールが反対しているか、そのあたりなのかも知れませんね。
ただ仮にリマスターの問題だとすると、このような非公式商品の影響も大きいのではないでしょうか。
非公式商品でこれだけ詳細な翻訳や16:9の迫力ある映像を出されてしまうと、
オフィシャルとしてはそれを凌駕するものを作らざるを得ない、
つまりハードルが上がりまくっているのではないかと言うことも有り得るかと。
しかし本当のことは当事者にしか分からないことでしょうね。
ところで最近のDVDはメニュー画面からチャプターやシーンを選べるようになっているものが多いのですが、
このメニュー画面に本編より大きい音のBGMが使われているものがあるのには閉口します。
DVDを見ながら寝てしまって、本編が終るとメニュー画面に戻って大きな音のBGMが延々と流れ続けて、
それが変な夢になって現れたり、睡眠の妨げになることも多く、寝不足状態になってしまうことがしばしばあります。
テレビの「無操作電源OFF」機能を3時間程度に設定しておいても、
無意識にリモコンのボリウムを操作したりするとそこからまた3時間になってしまいますし、
1時間程度に設定しておくと、頻繁に操作していないとすぐに電源が切れてしまいます。
DVDが終る頃を見計らってOFFタイマーを設定すればいいじゃないかと思われるかも知れませんが、
最近のテレビはリモコン表面にOFFタイマーボタンが付いていないものも多く、
オプションボタンを押して、カーソルを一番下まで下げて、さらに分数を選んでボタンを押して…というように、
OFFタイマーを設定するだけで何でこんなに複雑な操作が要求されるんだろうかと思うことしばしばです。
汎用リモコンを使えば解消されるケースもあるようですが、基本的な操作しか出来ないものも多いですし、
学習リモコンは高そうだし、ヘタすりゃかえって面倒くさくなることもありそうで…、なかなか思い通りには行かないものですね。
最後に…
この手のDVDは「決定版」とか「最終版」とか「最高」とか「オフィシャル並み」とか「マスターからダイレクトに」とか、
マニアの心を揺さぶる宣伝文句を使用するのが常套手段で、買ってみてガッカリするケースも決して少なくありません。
入手した直後は、どんな素晴らしい映像なんだろうかとワクワクしてパッケージを開封、
いざ再生してみてしばし絶句するケースも多いです。
でもそれは買う側が期待を持ちすぎているためにそう感じるのかも知れません。
もし手元に昔買ってガッカリしたDVDがあったらもう一度再生してみてください。
「あれ?意外といいじゃん」となるかも知れません。
入手した直後は心の中でものすごく期待値が高まっているので、
ほんのわずかなノイズや、ちょっとした不具合でも気になって仕方がないものですが、
時間が経つとさほど気にならなくなるものです。
あと、近年はリマスター技術も向上して、昔の映像でも昨日の映像のように鮮明に甦るものもありますが、
必要以上に解像度を高めたり超鮮明にするのはちょっとだけ控えて欲しいと思います。
今ではもう慣れましたがテレビの「水戸黄門」がフィルムからビデオになった時の違和感は今でも忘れられません。
"LET IT BE"にしても、40年が経過した今、ちょっと色褪せた感じの映像がちょうど良いのではないかとも思います。
でももしオフィシャルから超鮮明映像のリマスター版が出たら、やはり買ってしまうんでしょうね。
思えば昔はこういうビデオを買っていたものです。 テレビ放送されたものをVHSテープにダビングして4800円也。 ジャケットはもろカラーコピー。 裏ビデオが1万円で3〜4本の時代だったと思いますが、 相当儲かったんでしょうね。 |
今後加筆訂正あると思いますが、ひとまずこれで終了致します。
最後まで読んでいただきんして、ありがとうござりんした。
おさらばえ。
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2011年4月28日
安良町交通博物館