ハードオフお買物日記(2013年10月19日)

SONY プリメインアンプ TA-1150D編

SONY プリメインアンプ TA-1150D
(1975年頃発売 59,800円)

2013年10月19日(土)ハードオフ中条店で購入 2100円(ジャンク品) 状態表示:電源入りません。
一部を除いて拡大画像あります。



従来ブックオフとオフハウスが別店舗になっていて、
オフハウス内で申し訳程度にオーディオ製品を扱っていた中条店ですが、このたび一店舗に統合移転、
エコタウン(ブックオフ・ハードオフ・オフハウス)中条店となって10月19日(土)にリニューアルオープンしました。

村上からは国道7号線経由で30分程度、従来の店舗より5分は近くなった印象です。10月13日(日)撮影。
高速を使えば35分程度で新発田店まで行くことができますが、
高速を使っての35分と、一般道を使っての30分では後者の方が圧倒的に楽に感じられます。



場所は国道7号線半山交差点近く、元ケーズデンキだった建物です。
新潟県内のハードオフはブックオフを併設している所が多いので、
ガラクタを買おうかどうしようか悩んだとき、ブックオフで頭を冷やすことができるので便利ですね。

今回購入したTA-1150Dは10月13日(日)、開店前のお披露目の際に発見した品物ですが、
開店当日にもし誰にも買われずに残っていたら買おうという軽い気持ちでいました。

そして当日、開店4分前に到着すると40台少々停められる駐車場はほぼ満車、既に50人程度が並んでいました。
10時の開店とともにみんな思い思いの場所めがけて進んでいきます。
しかしジャンクオーディオのコーナーへ直行する人は案外少なく、難なく確保することができました。

今回購入したTA-1150Dは外観のコンディションは良好なのですが、値札に「電源入りません」と書かれているのが気になります。
単なるヒューズ切れだったら良いのですが、他に重大な原因があってのヒューズ切れだと厄介だなと思いつつ棚から下ろしました。
そして小脇に抱えて他の品物を物色していると「お持ちしましょうか」とすかさず店員が寄ってきます。

「あ、いや大丈夫です」と言って他の品物を選び、2台重ねてレジへ向かおうとすると、
「どうぞこちらへ」といって再び店員が声をかけてきます。
普段では見られない光景ですが、そういえば今日は社長も来てると言ってたしなあ・・・と納得。

ここの社長はテレビや新聞で何度か拝見していますので顔は分かっているつもりだったのですが、
私にはそれらしい人は見付けられませんでした。
というか視察に来ているえらいさんの顔をジロジロ見るのもアレですからね。


動作確認

帰宅後に早速パネルを開けてみると、トランスの近くにヒューズが直付けしてあるのが見えましたが、切れてはいませんでした。
電源SWをONにしてみてもランプは点灯せず暖かくもなってきません。
念のために機器を接続してみても音は出てきませんでした。

ヒューズは125V 3.15Aのものが使われていました。


もしトランジスタがショートでもしたのであればヒューズが切れていてもおかしくないでしょうし、
ヒューズが切れていないにもかかわらず電源が入らないというのはどういう原因なんでしょう。
トランスが逝ってなければ良いのですが・・・


真上からの撮影です。

まだ清掃前ですが比較的綺麗な状態でした。


パワーアンプはパラレルプッシュプル方式です。

2SA671と2SC1061が4個ずつ使用されています。
他の方の記事を拝見しますと2SA670と2SC1060となっているようですが、
載せ替えられた?もしくはロットによるもの?良く分かりません。


いろいろ考えながら配線を追って行くうち、電源SWをONにしても背面のサービスコンセントの
"Switched"の所に電源が供給されないことが分かりました。

もしかして電源SWの故障かも。

そう思ったので電源SWにテスタを当ててみると案の定導通がありません。
そこで電源SWの配線を短絡、恐る恐るプラグをコンセントに挿しました。
そしたら無事グリーンのランプが点灯、機器をつないでみるとヘッドフォンから音が出てきました。

やはりこの電源SWの故障でした。


この電源SWは2回路になっていて一方にはAC電源が、他方にはネオン球が接続されています。
そしてAC電源用に使われている方だけが導通不良で、他方は正常であることが分かりました。
さらにネオン球につながっている方は、単にAC電源とネオン球との間に51KΩの抵抗を入れるだけの用途に使われていて、
SWの動作とは直接関係がないことが分かりました。

ということは良い方と悪い方の配線を入れ替えちゃえば良いんじゃないだろうか・・・
そう感じたのでAC電源用とネオン球用の配線を入れ替えてみることにしました。

この電源SWの一方にはAC電源が、他方にはネオン球が接続されていたので入れ替えてみました。

結果、OKでした。

無事電源SWは機能するようになり、ネオン球の点灯にも問題は出ませんでした。
「電源入りません」のジャンク品を電源SWの配線替えだけで直すことができたのは正にラッキーでした。


しかし不具合はまだ他にもありました。

無事音が出るようになったのに気を良くしてヘッドフォン試聴していると、
時々右chからボソボソという音が聞こえてきます。
スピーカー端子にテスタを接続してみるとその音が出た時だけオフセットが暴れることが分かりました。
セレクタの位置や音量にも関係ないのでパワーアンプのトランジスタの劣化でしょうか・・・


背面パネルは未清掃ですが非常に綺麗な状態でした。


パワーアンプ基板の取り外し

どうやったら整備がやり易いかさんざん悩んだ結果・・・

フロントシャーシの横のネジ2本(左右で4本)と、底板のネジ4本を外してシャーシを倒すようにすると整備し易いようです。
この写真ではフロントパネル自体も取り外していますが、パネルやツマミ類は外さなくてもこの状態にすることができます。


パワーアンプ基板に付いている配線を引き抜いて放熱板の4本のネジを外せば、



このようにパワーアンプ基板を取り出すことができます。

ドライバトランジスタには2SA853と2SC1124が、その他には2SA678と2SC1362が使われていました。


基板を取り外すとご覧のようにすっからかんです。

清掃し易くて良いですね。


ノイズ元の推定

ネットで調べてみるとやはりその周辺の整備をされている方の記事をいくつかみつけることができました。
そこでパワーアンプ部を確認してみると右chに使われている2個の2SC1362の足が真っ黒になっています。



面白いことに左chの2SC1362の足は綺麗な状態が保たれていました。
よく見ると同じ2SC1362でも左右で違うロットのものが使われていることが分かりました。
もしかすると製造時期やロットによって劣化しやすいものと劣化しにくいものが存在するのかも知れませんね。

最初からロットの違うものが使われていた?途中で交換された?
半田の状態を見てもいまいち良く分かりませんでした。

本来であれば左右同時に交換する方が望ましいのかもしれませんが、
上記の理由もあって左側はまだ大丈夫だろうと思ったので、
とりあえず右chだけ2SC1815に交換して様子を見ることにしました。


左chに使われている2SC1124が変な傾き方をしているので直そうとすると足が変な動きをします。

半田面を見たらパターンが浮きかけていました。
ただし今すぐ切れそうな状態ではなかったのでとりあえずそのままにしてあります。

白いセメント抵抗のすぐ近くにピンが1本見えますが、
いったん取り外した配線を再取り付けする際にここに線をつないでしまいました。
電源を入れる前に念のためにと思ってデジカメ画像を確認して間違いに気づき、その手前のピンにつなぎ直しましたが、
そのまま電源を入れていたらどうなったかと思うとゾッとします。

またこの基板上にある2SA678のうち、左chの1個だけ2SA1027に交換されていました。
さらに基板上には配線の位置を示すと思われる「アカ」「クロ」などの書き込みが見られました。

上記の事柄から考えて全くの手付かずの品物ではなさそうです。
恐らく前ユーザーが修理したものではないかと思われますが、確かなことは知る術もありません。


動作確認

足の黒くなった2SC1362を交換してからしばらく経過しますが、ボソボソ音は再発していません。
メインボリウムに若干のガリはあるものの、それ以外のスイッチ類はほぼ問題ない状態です。
イコライザーアンプにも足の黒くなったトランジスタが散見されましたが、
今のところ症状は出ていないようなので今回の整備はこれで完了することにしました。


入出力端子は基板に直付けではなくケーブルで繋がれていました。

半田割れによる接触不良のリスクも少なそうですし、端子交換も簡単そうですね。


フラットアンプ基板とイコライザーアンプ基板です。

頭の禿げかかったコンデンサが1個見られますが、全体的には非常に綺麗な状態です。



こちらは足の黒くなったトランジスタが2個見られました。
1個は2SC1362、もう1個は表示が完全に消えていて型番は分かりませんでした。
今のところノイズなどの症状は出ていないようなのでとりあえずこのまま様子見です。


インプレッション

最初はヘッドフォンで試聴を行いましたが、先ず感じたのは低音と高音が非常に良く出るということでした。
しかし程なくこの機種はレバーが水平位置でラウドネスがONになるということに気づきました。
そこでラウドネスをOFFにしてみたところトランジスタラジオのような薄っぺらで芯のない音になってしまいました。

そのためしばらくはBASS, TREBLEともに+2位で試聴を続けたのですが、
2時間くらい経過した頃にフラットに戻してみると音が激変していることに気づきました。

低音は非常に良く出るようになり、なおかつ結構タイトな感じがします。
高音は超高域まで出ているという感じではないものの、かなり繊細に感じられるようになってきました。
その後スピーカーでも試聴してみましたが、高域が刺激的ではないのでボリウムを上げてもうるさく感じることは少ないようです。

解像度は結構高く感じられ、バックで小さく鳴っているアコースティックギターの音なども割りと判別しやすいという印象を持ちました。
ドラムスも結構得意なようでBEATLESの"GET BACK"のドラムの音なども非常にリアルに感じられました。

金属的な音も得意なようで"HELP!"のサビの部分でシャカシャカ言っている鈴の音?のような音も明確に感じられました。
また"HEY JUDE"でドラムスが加わって来るときのシンバルを叩く"コンコンコン"の部分や、
"DAY TRIPPER"のイントロの鈴の音も非常にリアルに感じられました。

女性ボーカルに関しては艶っぽいという感じではないものの、結構リアルな感じがします。
カレン・カーペンターのようにちょっと枯れたようなボーカルが得意なようです。
BEATLESの"YESTERDAY"のストリングスも結構明瞭に再生されるようですが、
やはり艶っぽいというよりも若干枯れたような雰囲気に感じられました。

全体的に見ると、いわゆる今風の音ではなくて、オーディオ全盛期にショップで聴いた音という印象が強いです。
まあその時代の製品ですからそれで当たり前と言ってしまえばそれまでですが・・・


今回は劣化したトランジスタ2個の交換にとどまりましたが、それでも音質的には非常に満足の行くものでした。
スライド式のボリウムや、水平位置でラウドネスがONになるといったことを差し引いても、
継続的に使用したいと思わせる製品でした。
しばらくこのままメインで使用してみたいと思います。


しかし、そうは問屋が卸しませんでした。

バイアス調整をすべくサービスマニュアルを探しましたが、この機種のものは見付けることができなかったので、
"D"の付いていないTA-1150のサービスマニュアルを参考にすることにしました。
そこにはセメント抵抗の横のテストピンとSP端子の+との間を25mVにと書かれていました。

その記述に従ってテスタを接続してみると左右ともに2mV位しかありません。
その割にはトランジスタ自体はだいぶ暖かくなってるなあと思いつつ半固定抵抗器を調整してみることにしました。

右chの半固定抵抗器をちょっとだけ動かしても数値が変わらなかったので今度は少し多めに回してみました。
そしたら一気に10mV、15mVと上がって行って、25mVを超えたあたりでシュッという音がして、
ピカッと光って3.15Aのヒューズが切れてしまいました。

3.15Aのヒューズは手持ちがなかったのでとりあえず4Aのヒューズを取り付けて、
半固定抵抗器を元の位置に戻して恐る恐る電源ON・・・
ピカッと光ってまたヒューズが切れてしまいました。

意気消沈・・・

気を取り直してパワートランジスタを放熱板に取り付けたままの状態でテスタを当ててみると、どうやら1ペア死んでる模様です。

これを機会に左右合計4ペアを交換しようと考えたのですが、2SAと2SCの両方を置いてあるショップが見つからず、
送料がかさむことを考慮して破損した右chのみ交換することにして2SA671と2SC1061を2ペア発注することにしました。


お亡くなりになった2SA671/2SC1061と3.15Aヒューズ



トランジスタ交換

せっかくのチャンスなので左右両方のトランジスタを全て取り外して放熱板を清掃することにしました。
トランジスタが到着するまでの間に取り外しと清掃、片側のトランジスタの再取り付けまで行っておいて、
あとは発注しておいたトランジスタが到着するのを待つだけの状態にしておきました。

今回発注したショップはいずれも同じ宅配業者を利用していて、
なおかつ同時に届いたので作業が非常にやり易かったです。
届いた2SA671と2SC1061は元々3本足なので中央の足をカットして使用します。

またせっかく購入した新品のトランジスタがまた壊れると精神的なダメージが大きいと思ったので、
壊れていない左chに新品を取り付けることにしました。

そして写真を元に半固定抵抗器を元通りの位置にもどして恐る恐る電源ON・・・


緑のランプが点灯して・・・


今度は大丈夫のようです。


一安心です。

バイアスを測定してみるとパワートランジスタを新品に交換した側だけ20mV程度に上がっており、
半固定抵抗器を微妙に動かしただけでも敏感に反応します。
ただしかなり変則的な動きをすることがあるので、半固定抵抗器自体も劣化しているのかも知れませんね。

一方トランジスタを交換していない側は相変わらず2mV程度で、少し動かしてみても数値は殆ど変わりません。
トランジスタの発熱は結構大きめに感じられましたが、左右で大きな違いは感じられませんでした。

当初両chともに2mV程度しかなかったのはパワートランジスタの劣化によるものだったのか、
バイアス発生用のトランジスタの不具合か、それとも他の原因によるものなのか分かりませんが、
現時点では予算の関係もあってこれで終わりにしたいと思います。


パワートランジスタは左右ともにいったん全て取り外して、シリコンを塗りなおして再取り付けしました。

手前の4個は元々付いていたもので全てBランク、
奥の4個は新たに購入したものでBランクが1個、残りの3個はCランクでした。

また元々トランジスタの足はソケットに差し込んで更に半田付けされていましたので、
再取り付けの際にも同様に半田付けを行いました。

放熱板も磨き上げました。


3.15Aのヒューズを新たに購入して取り付けました。

ヒューズホルダー化する予算がなかったので今まで通り直付けです。
このあと剥がれかけているトランスのシールを貼りなおして作業完了となりました。

オフセットは左が約30mV、右が約15mVで安定しています。
左が若干高めなのが気になりますが、まあ大丈夫でしょう。


今回かかった費用です。
送料等は除いてあります。

交換前 交換後 数量 単価 小計  
2SC1362 2SC1815-GR 2 0 0 手持ちを使用
2SA671 2 315 630 ボントン
2SC1061 2 304 608 マルツパーツ
ヒューズ 125V 3.15A 1 31 31 マルツパーツ
合計       1269  

あとで調べたら2SC1061は若松の方が安かったです。

今回はバイアス調整用の半固定抵抗器を一気に回しすぎてトランジスタを壊すという失敗をしてしまいましたが、
そのおかげで放熱板の清掃やシリコンの塗りなおしまで行うきっかけもできたことですし、
まあ決して無駄ではなかったに違いないと・・・そう思うことにして今回の作業を終えることにしたいと思います。


おまけ

SONY FM-AMチューナー ST-5150D編

SONY FM-AMチューナー ST-5150D
(1975年頃発売 49,800円)

2012年10月30日(火)ハードオフ村上店で購入 525円(ジャンク品)

周波数表示部分の文字のゆがみが全くない品物でした。



照明は両端部分に8V 0.3Wのヒューズランプが使われています。



無音時に稀にボボボという小さい音が出ることがあったのでフロントエンドの2SC710を1個交換してみたところ症状は治まったようです。



アンテナ端子にはF型コネクターが使えるようになっています。
相方のTA-1150Dのスピーカー端子は面倒くさいネジ留めなのに、なんでチューナーだけ便利なF栓なんでしょう・・・


最後に

TA-1150DとST-5150Dとのツーショット 美しい!!!

Listen5専用のラックが欲しいです。似せて作ろうかなあ・・・


後日談

実は先日、増えすぎたチューナーを何台か売却したんです。
そのときにこのST-5150Dも売却候補に挙がっていたのですが、何か感じるものがあって売却せずにいました。
そしたらまさにその日、相方となるTA-1150Dを発見、
「電源入りません」ということだったのですが運命じみたものを感じて購入に至った次第です。

終わり

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2013年11月2日(土)掲載(11月9日更新)

安良町経由村上行き

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