ハードオフお買物日記(2009年8月14日)2009年8月16日掲載

SONY プリメインアンプ TA-F333ESX編

SONY プリメインアンプ TA-F333ESX(1986年発売 定価79,800円)
2009年8月14日(金)ハードオフ新潟新通店で購入(取説付き)。ジャンク品(音出ました。電源ランプ点灯しません)5,250円

幅430mm X 高さ160mm X 奥行436mm 重量17.3kg 定格出力140W+140W(4Ω)、120W+120W(6Ω)
いかにもSONYといった感じのゴツいデザインが特徴的です。画像クリックで拡大されます。

この機種は1986年にSONYが発売した中級機で、非常に人気の機種になりました。
このシリーズは現在でも中古品で良く見かけますし、実際に使っている方も多いのではないでしょうか。


この日は去る8月7日にOPENしたばかりのハードオフ新潟女池店へ行くために新潟へと向かっていました。
しかし思いのほか道路が順調で、かなり時間的に余裕があったため、先に新潟新通店へ行くことにしました。
そこで見つけたのがこのTA-F333ESXです。


外観のコンディションはかなり良好でした。画像クリックで拡大されます。

ラッピングせずにジャンク売り場に置かれていたこの機種ですが、各スイッチにホコリは付着しているものの、
大きな傷や汚れもなくサイドウッドも非常に良好な状態が保たれていました。
値札には「音出ました。電源ランプ点灯しません」と書かれています。
電源ランプの件はともかく「音出ました」というのが気になります。

このTA-F333ESXやTA-F333ESXU等はジャンク品で時々見かけますが、
サイドウッドの傷みの激しいものが多く、なかなか購入する機会がありませんでした。
しかし今回見つけたこのTA-F333ESXのサイドウッドはほぼ無傷の状態でした。


天板も非常にキレイな状態でした。画像クリックで拡大されます。

新潟新通店ににはこれと同じ機種がもう2台置かれていましたが、
いずれもジャンクではない保証付きの中古品扱いで、値段は2万円台でした。

電源ランプの件だけでこの個体をジャンク扱いにしたのか、
それとも他に不具合があるのか、なんとも奇妙な感じです。


これから新潟女池店へ行って、めぼしいものがなければまたここ新潟新通店へ戻って来てこのアンプを買おうかとも考えましたが、
店内にはライバルになりそうな感じの客もいたために、万一のことを考えてこの場で確保することにしました。
新潟女池店には掘り出し物がないことを祈りましょう。

その後、新潟女池店と新潟南万代店へ行ってみたのですが、幸いにも?掘り出し物は見つかりませんでした。
新潟南万代店にはこの333ESXと333ESXUのジャンク品が置いてありましたが、
外観のコンディションも悪いうえ、1万円以上の値付けがされていました。


この日は新潟新通、新潟女池、新潟南万代、新潟松崎、新発田の各店舗を回りましたが、
オーディオ関係で購入に至ったものはこのTA-F333ESXだけでした。
なお新潟近江、新潟紫竹山、亀田、新津の各店舗は比較的最近に行ったためにパスしました。
そして翌8月15日に日本文理高校の試合の中継を見ながらチェックを行なうことにしました。


カバーを開けてみる画像クリックで拡大されます。
ジブラルタル・シャーシと呼ばれる強固なシャーシが採用されています。

それなりに埃が堆積しているほか、電源トランスに黄色い汚れや、シャーシに白い斑点などが見受けられます。
内部に関しては「非常にキレイ」とは言い難いですが、まあそこそこの状態でしょう。


Spontaneous twin drive電源と呼ばれる電源部が採用されています。画像クリックで拡大されます。

(以下取説より)
A級電圧増幅ドライブ段、B級パワー出力段それぞれに、大容量コンデンサを採用。
安定した出力と電源干渉を排除したハイクオリティな音質が得られます。
また、瞬時の大きなパワーに対しては、ドライブ段からも電源を供給しますので、
大きなダイナミックレンジが得られます。



大きなヒートシンクが目を引きます。画像クリックで拡大されます。

電源のコンデンサの頭部には防振用でしょうか丸いスポンジが乗せられており、透明カバーで覆われています。
ヒートシンクの入り組んだ部分に埃が付着しているのが見えますが、面倒くさいのでそのままにしてあります。



電源ランプの確認

電源を投入して10秒ほど経過すると保護回路が解除された音がして、音が出るようになりました。
しかし値札に書かれていた通りに電源ランプは点灯しません。
ネットで調べてみたところ、電源投入時に「赤」のランプが点灯し、
保護回路が解除されると「緑」のランプに切り換わるらしいことが判明。
さらに「緑」のランプが切れると「赤」がつきっぱなしになることが分かりました。
またこの個体は「赤」と「緑」の両方のランプが切れていることが分かりました。


電源ランプの交換(作業後の写真です)
本来は2つのランプは下向きに取り付けられていましたが諸般の事情により上向きに変更しました。

正面パネルを取り外したところに電源ランプの基板が取り付けられており、直径4mmのムギ球に赤と緑のキャップを被せてあります。
手持ちのジャンク部品から同じ大きさのムギ球を選んで装着してみましたが、明るさにバラつきがあって気になります。
そこで新品の直径3mmのムギ球で試してみたところ、明るさは揃って都合は良いものの、
オリジナル通りにランプを下向きに取り付けると被せたキャップが外れてしまいます。

そこでこの写真のようにランプを上向きに加工して装着、これでキャップが外れることはありません。
なおリード線がショートしないよう念のためにチューブを挿入することにしました。


電源ランプの基板は簡単に取り外すことができます。

たぶんランプ切れが起きたときに交換しやすくするためでしょうね。



動作確認


普段ヘッドフォンを使うことが多いので、先ずヘッドフォン端子で確認を行いましたが、
片チャンネルからしか音が出てきません。ただしプラグに力を加えると両方から音が出たり、
また片側だけになったりと安定しません。
そこでヘッドフォンジャックの装着された基板をひっぱり出してジャックとその隣のリレーを取り外し、
分解して接点部分を清掃し、再組み立てを行なったところ不具合は解消されました。
音質的には明瞭度が高く、生々しいサウンドといった印象です。
今回はCD入力〜ヘッドフォン出力の確認のみにとどめ、
スピーカーリレーの不具合などの確認はまだ行なっていませんが、
しばらくこの機種を使ってみようと思います。



2009年10月24日(土)リレー交換

PHONO入力及びREC SELECTORは未チェックですが、
それ以外の入力(TUNER, CD, AUX, TAPE1, TAPE2, TAPE3)は問題なく機能しているようです。
VICTORのスピーカーZERO-5FINEに接続してみたところ、
非常に明るくメリハリのあるサウンドを聴かせてくれています。

ただスピーカーセレクタを操作した際に、片側のスピーカーの音が小さかったり、出なかったりすることがあります。
そこでスピーカーリレーの交換を行なうことにしました。

このアンプにはAとBの2系統のスピーカー用に2個のリレーが使われています。
簡単に済ませるならば使用頻度が少ないと思われるB系統用のリレーと、
劣化が大きいと思われるA系統用のリレーを入れ替えてしまうという方法もあると思いますし、
接点部分の清掃を行なって再使用する方法もあると思いますが、
今回はオリジナルのリレーが手に入ったので2系統共に新品に交換することにしました。


MATSUSHITAの JC2aD-DC24V という型番のリレーが使われていました。


MATSUSHITAのJC2aD-DC24Vは既に廃機種のようで、
現行品ではOMRONのG4W-2212P-US-TV5が適合するらしいのですが、
今回はエイアンドブイテクニカルという所でMATSUSHITAのオリジナル品が入手できたため、
オリジナル品を使うことにしました。価格は1個651円でした。
リレー交換によってセレクター操作時の不安定さも解消されました。

このアンプを入手してから2ヵ月が経過しましたが、今のところ動作も良好で不具合も出ていません。
当分の間はこのアンプを使うことになりそうです。


(2010年3月25日追記)

PHONO回路の確認

今日、2010年3月25日は誰かさんのデビュー32周年記念日です。
あれから32年も経ったなんて信じられないのですが、最近ではまたテレビに出る機会も増えていますし、
CSで放送されているカックラキン大放送では当時の映像も見ることができて嬉しい限りです。
というわけで(全然関係ないのですが)久しぶりにTA-F333ESXをいじってみることにしました。

購入時にはPHONO回路の確認をしなかったのですが、
今回レコードプレイヤーをつないでみたところ、左チャンネルの音が全く出てきません。
音が少しでも出て、なおかつ変なノイズが出るのであれば部品の劣化を疑ってかかるところですが、
今回は左チャンネルの音が全く出ないことから、最初に断線等の確認を行なうことにしました。

そしたらズバリ、入力端子直後の基板との接合部分のハンダが見事に取れていました。
早速修復を行なったところ難なく音が出るようになりました。
とりあえずは一件落着。



オフセット及びバイアスの調整

このアンプを買ってきたときにはオフセットやバイアスの調整は全く行なっていませんでした。
スピーカーからのポップ音も出ることはなく、やや大きめの発熱は見られるものの、
異常とも言えない範囲内だったために確認が後回しになっていたのです。
その後A-705DCやら何やらを買ってしまったため、放置プレイのままになっていました。
今回PHONO回路の確認を行なったついでなので、清掃がてら少しいじってみることにしました。


緑色のMUSEが多用されていて視覚的にもいい気分です。画像クリックで拡大されます。

スピーカー端子でDCオフセット値を測定したところ、左右ともに10mV台半ばの数値が表示されました。
ジャンク品として投売り状態になっていたにしては優秀な数値です。
このままでも全く問題のない数値なのですが、上の写真に写っている半固定抵抗器を調整して、
0mVに近づくように調整を行ないました。だいたい…±2〜3mV位で安定しています。


パワーアンプ基板を真上から撮影(保護カバーを外してあります)画像クリックで拡大されます。

写真の左右両端に写っている半固定抵抗器がバイアス調整用です。
大きな電解コンデンサはいずれもニチコン製で、63V4700μFと63V12000μFです。
ドライバとしてはNECの2SA1383と2SC3514が使われており、他に2SB731も使われています。


半固定抵抗器から少し離れた場所にテストピンがあります。画像クリックで拡大されます。

ご丁寧に15mVと書いてあるのでそれに従うことにします。

調整を行なう前にテストピンで測定してみたところ、
左が17.8mV、右が24.9mVという数値が表示されました。
発熱がやや大きめに感じられたのは右の数値が大きかったからでしょう。
ここは素直に基板の表記通りに15mV前後になるように調整を行なうことにしました。
その結果、以前に比べて発熱はやや少なくなったようです。


再び保護カバーを取り付けてみると…。画像クリックで拡大されます。

保護カバーには穴が開いていて、そこからドライバーを差し込んでバイアス調整できるようになっています。
ただし…写真で見える保護カバーとヒートシンクの間の2センチ程度の隙間から
テスターの棒を奥深く入れる必要があるために、カバーを外した方が早いです。
もちろんメーカーでは適切な冶具を使っているに違いありませんし、
修理のプロフェッショナルの方も同様と思いますが、
私のようなトーシロにはムリという訳です。



電源ランプの再交換。画像クリックで拡大されます。

直径4mmのムギ球が手に入らなかったので3mmのもので代用、
キャップが落ちないように929の39(苦肉の策)で逆向きに取り付けていましたが、
直径4mmのムギ球が手に入ったので正規方向に取り付け直しました。



電源ランプ再交換前と再交換後の比較
  
オリジナルでは直径4mmのムギ球が使われていましたが、手に入らなかったので3mmのもので代用、
キャップの脱落防止のため左の写真のように加工して取り付けておきました。
今回直径4mmのムギ球が手に入ったため、右の写真のようにオリジナル通りの向きに変更しました。



ついでなので底板を開けてみました。画像クリックで拡大されます。

両サイドはドライバトランジスタでNECの2SA985と2SC2275、
大きいトランジスタは終段用でサンケンの2SA1186と2SC2837がパラで使われています。
2SC2837の隣に見える小さいのは2SD809です。

TA-F333ESXの整備 「いじくり」はこれにて終了です。
現在は同じ年代のKENWOODのスピーカーのLS-990Dと組み合わせて使用しています。
この当時はこのように798アンプと598スピーカーという組み合わせの人気がありました。
願わくば12万円クラスのTA-F555ESXが欲しい!というところですが、
なかなか良さそうなのが出回らないもので、しばらくはおあずけ状態になりそうです。


まとめ

RECセレクタの動作は未確認ですし、カートリッジのロード切り替えSWに若干の接触不良が見られますが、
どちらも頻繁に使う機能でもないために、とりあえずそのままにしてあります。
今回入手した個体は外観のコンディションも素晴らしく、特にいじられた形跡もありませんでした。
新潟市内の店舗の中でも比較的高めの価格設定のものが多いこの店において、
珍しく手頃な価格で手に入れることが出来たことになりますが、
恐らくPHONO回路に断線があったからではなかろうかと想像しています。
でも何よりも外観のコンディションの良さには驚きました。
店頭販売は通販やオークションとは違って、実際に現物を見て買うことが出来る点で強みがありますね。

しかしまあハードオフのジャンク売り場にいる客というのは(私も含めて)挙動不審者が多いもので、
たかが数千円程度のジャンクアンプを隅から隅までチェックしてみたり、
内部の状態を確認するために放熱用のスリットから中を覗き込んでみたり。
それでも中が良く見えなかったりすると店内の照明の明るい場所に持って行ってみたり怪しさこの上ないですね。


今後加筆訂正あるかも知れませんが、とりあえずこれにて終了致します。

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2009年8月16日 安良町交通博物館
(2009年10月25日追記)
(2010年3月25日追記)