ハードオフお買物日記(2009年2月15日)

PIONEER 4 CHANNEL STEREO SYSTEM ED-770編

PIONEER 4 CHANNEL STEREO SYSTEM ED-770 (1973年頃発売 定価不明)
2009年2月15日(日)ハードオフ村上店で購入ジャンク品(受信できました)1,050円
(途中に出てくる小さな写真以外は全て拡大画像をご覧いただけます)

幅520mm X 高さ145mm X 奥行き380mm(突起物を含む、バーアンテナ含まず)重量 約9.5kg
標準コンポサイズより一回り大きいサイズです。
この手のレシーバーはハードオフ各店でも時々見かけることがありますが、
これだけ状態の良いものにはなかなかお目にかかれません。


1970年代初頭、空前のオーディオブームに沸いていた頃、4チャンネルステレオというのが存在しました。
現在のサラウンドシステムの原型みたいなものと言えば分かりやすいでしょうか。

ウッドケースは非常にキレイな状態ですが、強度的に上に他の機器を乗せるには適さないようです。


当時は家具調の「セパレートステレオ」というステレオが大人気となっていました。

今でもリサイクルショップなどで安く売られているのを見かけることがありますが、
レコードプレイヤー、チューナー、アンプ、それにレコード収納ケースを一体化した「本体」と、
左右のスピーカーの三点セットというのが基本的な構成でした。
そこにリアスピーカーを2本追加して五点セットとなったのが4チャンネルステレオというわけです。


4チャンネルステレオの歴史や原理などについては省略させていただきますが、
メーカーによって様々な方式が乱立したことや、日本の居住事情などもあって普及するには至らず、
1970年代後半には殆ど見られなくなってしまいました。

四方をスピーカーで囲まれた「4」の文字が時代を感じさせます。
いかにもアナログ的でありながらも、洗練された感じのするデザインで、
ずっと見ていても決して飽きることがありません。


今回ご紹介しておりますパイオニアのED-770という機種は、
Wikipediaの「4チャンネルステレオ」というページで紹介されているものと酷似していることから考えて、
おそらくこのセパレートステレオの一部として組み込まれていたもの、
もしくは筐体に組み込まずに単品として売られていたもの(そういう販売方法があったかどうかは不明ですが)
ではないかと推測されます。電源コードには1973の印字がありますから1973年に作られたものだと思います。



状態確認


正面パネルには時代なりの汚れが見られましたが、大きなキズもなく良好なコンディションです。
四方を囲むように取り付けられているウッドケースはほぼ無傷の状態、とても35年前の製品とは思えません。


黒とブルーを基調としたパネルは現代でも十分に通用するデザインです。

もしも単品で売られていたものだとすると、これだけ良好なコンディションで残っているのは奇跡的だと思います。
おそらく前述の「本体」に組み込まれていたものを処分する際に取り外して、
このレシーバー(チューナーアンプ)部分だけを保管していたのではないでしょうか。


通常の2CHの他に、3種類の4CHが採用されており、ポジションに応じてランプも切り換わります。
 

 



動作確認

各種灯火類は球切れもなく全て明るく点灯します。FMの感度も良好で、
時間の経過による周波数ズレもありませんが、ややセパレーションが不足気味に感じられます。
FM新津やFM新発田もノイズ混じりながらもステレオ受信ができました。
ただ受信周波数とダイヤルの指針に約1MHzのズレが生じているほか、
全然放送のない周波数でFM新潟とFM PORTが「混ざって」聞こえたりします。


カバーを開けてみる

単品チューナーとは違って中身はギッシリ詰まっています。


一方のAM放送はダイヤル指針のズレもなく感度も良好、そして何よりも音質が優れています。
FM放送が普及する前はAM放送も大切な音楽源だったために回路にも力が入っていたのか、
選択度を小さくして帯域を広く取ってあるのか、詳しいことは良くわかりませんが、
滑らかでとても良い音がするといった印象です。

赤く四角い部品はチューナー部分のローパスフィルターでしょうか。
この周辺は基板が2層構造になっています。


この製品は最近のコンポのようにネジを外してパカっとふたを外すといったことは出来ず、
ウッドケース底部の4本の止めネジ及び背面のベークライト板の3本のネジを取り外して、
ウッドケースから中身を引っ張り出すことになります。

この製品にはヘッドフォン端子が付いていますので、アンプを介さずにFM放送を聞くことができます。
ヘッドフォン端子からの音はやや高域が不足気味に聞こえますが、
TREBLEを5段階中2〜3段階上げてやると非常にクリアに聞こえるようになります。


単体チューナーと違ってLINE OUT端子が付いていないため、
アンプに接続するときにはREC OUT端子を利用しますが、出力がやや低めに設定されているため、
アンプ側でボリウムを少し多めに回してやる必要があります。

AM用2連、FM用3連バリコンが使われています。


ヘッドフォン端子からの音質は高域がやや不足気味に聞こえましたが、
アンプに接続した際の音質(アンプのヘッドフォン端子を使用)は高域の伸びも良く、
SONYのST-5950と切り替えながら聞いても違いが殆ど分からないほど良好な音質でした。

セパレーションはST-5950に比べるとやや不足気味に感じられましたが、
微調整を行なった(見当を付けていじくり回した)結果、かなり改善されました。


セパレーション調整をしているさなかに放送されていた、FM新潟「桑田佳祐のやさしい夜遊び」の中で、
ちょうどビートルズ特集が組まれており、聞き慣れた曲が多数オンエアされたため、
ST-5950との聞き較べを非常にスムースに行なうことが出来ました。

サイドの部分にも基板が取り付けられています。4CHのデコーダー部分でしょうか?


リアパネルの全景です。

フロントスピーカーに使われていたと思われるコードが付いたままになっていました。


接続端子部分のアップです。

FMアンテナは300Ωの平衡タイプのみ、スピーカー端子は特殊な形状のものが使われています。
「TAPE MONITOR」「TAPE REC」ともにフロントとリアの端子が備わっています。
TAPE MONITOR端子にCDプレイヤーを接続すればCDを聞くことも出来ますが、
これがなかなかクリアかつ柔らかな音を聞かせてくれます。


購入から一週間が経過しましたが動作は非常に安定しています。
ただし4チャンネルのモードをSQ及びRMにしたときにバリバリ音が発生することがあります。
ただ普段2CHモードを使っている分には支障はありません。
約1MHzのズレが生じていたFMのダイヤル指針も調整が完了、
変な場所でFM新潟とFM PORTが混ざって聞こえる現象も解消されました。
ただしMUTINGスイッチが機能せず、ONの状態でも局間ノイズが発生します。
おそらく高利得のブースターを使っていることによる影響なのではないかと思っています。


まとめ

今回入手したED-770は製造後35年以上経過したものですが、非常にコンディションが良く、
これ1台でFM放送を聞くことができるため、FM放送を聞きながら寝るのに適しています。
音質も良好で、オーディオ製品の基本的な性能は既にこの時代に
確立されていたことを改めて感じさせられました。
願わくば当時の「セパレートステレオ」のセットを入手したいところですが、
置き場などを考えますと断念せざるを得ない状況です。


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2009年2月22日
安良町交通博物館 管理人:安良町経由村上行き

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