ハードオフお買物日記(2006年7月23日)

パイオニア プリメインアンプ SA-8900編

管理人は特にアンプを集める趣味はないのですが、
オーディオに興味を持ち始めた頃に売られていた機種となれば話は別。
今回は1975〜76年頃にパイオニアから発売されたSA-8900というアンプをご紹介致します。
(小さな写真は拡大画像をご覧いただけます)

PIONEER STEREO AMPLIFIER MODEL SA-8900
2006年7月23日ハードオフ村上店で購入ジャンク品 2,100円


シルバーのパネルが印象的。直線を基調にしてキッチリまとめられているという感じである。
ただ正面パネルの角の部分に足をぶつけた日には泣くほど痛いのであります。


   

この機種に関してもネット上で詳細な情報は得られなかったが発売は1975〜76年頃、79,800円クラスの製品らしい。当時のプリメインアンプにはゴーキュッパ戦争というのがあって、どのメーカーも6万円前後の製品に力を入れていた。パイオニアにもSA-8800という機種があって人気製品となっていた。このSA-8900という機種はその上位機種にあたる製品で、クラス分けするならば中級クラスということのなるだろうか。手持ちの「オーディオピープル」1977年7月号には、この機種のマイナーチェンジ版のSA-8900(2)という製品の広告が掲載されているが、その中に実効出力80W+80Wという記述があるので、今回入手したSA-8900は概ね60〜70Wクラスということになるだろうか。



約1週間ぶりに訪れた同店で見つけたのがこのSA-8900である。同じシリーズのTX-8900というチューナーと一緒に陳列されていた。チューナーの方が主目的であったが、値段が安かったのでアンプも一緒に買ってきた。正面パネルは全体的に黄ばんでおり、2〜3ミリほどの当たりキズが一箇所と、ファンクションダイヤルにスリキズが見受けられる。またボリウムツマミの外周部分にあるバランスツマミのメッキに斑点状の汚れが多数付着していた。本体カバーは若干サビが出ている箇所が見受けられるものの大きなダメージはない。正面パネルとツマミ類を丹念に磨き、バランスツマミの汚れをメッキを剥がさないように気をつけながらコンパウンドで慎重に除去した結果、一番上の写真のように発売当時の輝きを取り戻した。背面は入出力端子に汚れが見られるものの概ね良好なコンディション。ただし2系統あるPHONO入力のGND端子の金属部分にサビが発生していた。



動作確認

この商品はハードオフでの販売に際してPSE検査を実施しているから、電源を入れたとたんにボンっと逝く危険性は低いと思われるが、やはり古い製品なので恐る恐る電源を入れてみることにした。2〜3秒後にプロテクタ回路が外れたと思われるカチっという音がして音出し可能になった。そこで早速背面TUNER端子にCDプレイヤーをつないで再生してみたが、無事に音が出てきたし、各スイッチ類の操作状態も良好であった。ボリウムやバランスツマミを回してもガリは全く出なかった。発売後30年も経過しているにもかかわらずこのような良好な状態が保たれているというのはまさに想定外であった


カバーを外してみる


この位置から見る限りではICの姿は見られなかった。出力のパワートランジスター8個が大きなヒートシンクに装着されている。
電源トランスや大きな電解コンデンサの頭の部分にそれなりにホコリが積もっていたが、それ以外の部分にはホコリのたい積は見られなかった。


   
コンデンサにも液漏れなどは見られなかった。


   
昔懐かしいトランジスタが何個も並ぶ姿にしばし感動。


   
下になっているのは同時に買ってきたチューナーのTX-8900。こちらは完全にオシャカでした。(涙)



メカニックな正面パネルはいかにもオーディオ「機器」といった印象。


トーンコントロールはBASS、TREBLEともに2段構えになっている。ただし連続可変ではなく2dBごとにクリックストップする構造になっている。トーンコントロールを使用するためには中央にあるTONEスイッチをONにする必要があるが、これはトーンコントロールを使用しないときにはOFFにすることによってトーン回路をスルーすることができるので、音質劣化を防ぐことができるという考えに基づいたもの。実際、4つのトーンコントロールツマミを「0」の位置にした状態でTONEスイッチをON/OFFしてみると明らかに音質が変化するのが分かる。MODEダイヤルは文字の一部が隠れて見えなくなっているが、左から「反転ステレオ」、「通常ステレオ」、「モノラル(左右)」、「モノラル(左のみ)」、「モノラル(右のみ)」の5系統。



当然ながらCD入力など存在しない。通常はAUX入力を使用するが、TUNER入力でもいいし、操作性さえ気にしなければTAPE入力を使用しても良い。PHONO(レコード)入力は2系統、PHONO2の方はレベルコントロールが可能となっている。2系統ともにMM、VM型カートリッジで問題なく動作することを確認済み。ただし低出力のMC型カートリッジを接続した場合には極端に音量が低くなってしまう。TAPE端子は動作未確認である。「ADVANCED MODEL」というステッカーが貼ってあるが進化モデル、前進モデルという意味か。意訳すれば「新製品」という意味なのかもしれない。

背面パネルの様子。
   

TAPE2のところにREC/PBという端子が見られるが当時の録音機器には入力と出力を1本にまとめたDIN端子というものが付いていることがあった。この端子もおそらくそれと同じものではないかと思われる。スピーカー端子はネジ式ではなく差込式である。オークションを見ると、同じSA-8900でもネジ式の製品も存在することが分かるが、おそらく今回入手したものは、SA-8900の中でも初期の製品ではないだろうか。だとすると「ADVANCED MODEL」というステッカーは、やはり「新製品」を意味するものだということになりそうである。


今回入手したSA-8900は外観のコンディションは良くありませんでしたが、簡単な清掃で輝きを取り戻しました。
心配された再生状態も良好で、30年も経過した製品とは思えないほどでした。
底板に「昭和62年、担当者○○」というシールが貼ってありましたが、
その時期に故障修理かオーバーホール等、何らかの手入れが行なわれているものと思われます。
それが良好な状態を保っている理由なのではないかと想像しています。
肝心の音質ですが非常に迫力のある重低音を聴かせてくれます。
高音域はやや甘くなるようですが中音域が充実しているためにこもった印象はありません。
刺激的な音ではないので、音量を上げても聴き疲れすることなく、
かといって古臭い音というわけでもなく、今でも十二分に使える製品です。

途中で手入れが行なわれているとはいえこの製品は30年も前の製品。
それが何の問題もなく使用できて、キレイな音色を奏でてくれることは素晴らしいことですね。
いま売られているコスト重視の製品は、はたして30年も持つのでしょうか。

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2006年7月29日
安良町交通博物館 管理人:安良町経由村上行き

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