●村上高速初乗車顛末記(2002年11月23日掲載)

2002年10月21日、村上営業所〜新潟県庁間に一日4往復の高速バスが運行開始しました。
遅まきながら11月23日(祝)に初乗車をした際のレポートをしてみたいと思います。(2002年11月23日掲載)

往路 村上営業所13:00発

自宅から「村上営業所」まで徒歩10分、一方「長井町」までは徒歩4〜5分程度、
「長井町」乗車の方が楽には違いないが、初乗車ということもあって営業所から乗ることにする。
待合室には何人もの客がバスを待っているが、そのうちどのくらいが高速バスに乗るのであろうか。
天井を見ると小さなスピーカーが埋め込まれている。時間になると案内放送があるに違いない。

12:55頃、北中行きの路線バスが入って来た。しかし案内放送はない。
12:58に北中行きが発車、続いて13:00発の新潟行き高速バスが入って来た。しかしここでも案内放送はなし。
乗る人は決まっているから、いちいち案内放送などしないのかも知れない。
それに運転手も「○○行きです」と言っているし、方向幕だって出ているし。
一般の路線バスと高速バスとでは見た目も全然違うし、間違う人などいないのだろうか。

でもみんながみんな、乗り慣れた人とは限らないし、
交通趣味をやっている人以外の「一般人」には、一般路線バスも高速バスも、
「形」だけでは区別できない人だっているに違いない。
簡単でいいから待合室で「○○行きご利用のお客様お待たせしました」程度の
放送があってもいいような気がするが。

バスは定時に発車。天気は快晴、新潟200か・231に乗車、乗客は私を含めて8名。
まさに休日の昼下がり、中途半端な時間なのでこんなものだろう。
マニア席はどこかの女性に取られてしまったため、車両中央部の左側窓側に座ることにする。
エンジンが近いせいか、割りと大きな走行音がするという印象。
座席は485系特急電車に比べると幅もピッチも狭いが、
前席の下部に足を入れられるため、それほど窮屈な印象はない。
しかし荷物棚の高さがあまりないのはバスの宿命であろうか。

「長井町」「九日市」「坂町」「黒川」と乗車客なし。国道7号も流れはスムースで、
ここまでの遅延は1分(殆ど誤差の範囲)。「中条」は定時、ここで2名乗車。
ところが中条地内での交通量が多く、佐川急便の交差点の右折待ちなどもあり、
中条インターから高速に乗った時点で「加治川・紫雲寺」の予定時刻に達している。

高速に入ったとたん快調な運転に。「加治川・紫雲寺」で2名乗車、この時点での遅れは4分。
バス停には三脚を構えて写真を撮っている人がいる。同志1名発見!
「聖籠・新発田」「葛塚」を1〜3分の遅れで通過、
「葛塚」を「くずづか」と案内放送の声は発音していたが、「くずつか」が正しいような気が・・・。
そのあと開設予定の「西野」を2分早く通過、バス停は工事中でまだまだかかりそうな様子。

このあと新潟空港ICを13:54に通過、新潟亀田ICを13:59に下りて一般道へ。
亀田バイパス、栗ノ木バイパスともに殆ど追い越し車線を走行、
馬越の信号を過ぎJRの陸橋をくぐったあたりで一気にいちばん左の車線に。
ダイヤにかなり余裕がない様子が感じられる。

明石通に入ると、程なく左手に石丸電気が見えてくる。あれー、しばらく来ない間に増築されてる!
巧みなレーン取りの効果もあって、「駅前通」は2分の早着、
「万代シテイバスセンター前」「古町」と、いずれも2分の早着、ここで下車することにする。

古町到着14:12
帰りの便まで約2時間あるが、遠くまでは行けないため古町周辺を徘徊することにする。
まず中古レコード店「KING KONG」を訪れるためにWITHビルへ向かう。

WITHビルの3F、4Fは、来るたびに怪しさを増しており、
狭い通路にコスプレ衣装や、どこから持って来たか分からないようなアンティークグッズ
(いわゆるガラクタ)を並べた店が多く入っている。まさにトワイライトゾーンである。
大塚製薬のアース渦巻きのホーロー看板(由美かおる)が1万円、
決して法外な値段ではないものの、いささか状態が悪い。大村昆の「オロナミンC」の看板も売られている。
でも私は買わない。なぜなら両方とも持ってるから!(爆)

「KING KONG」では真っ先にBeatlesのコーナーへ直行するが全く収穫なし、
ここ(WITHビル)に移転してからは以前ほどの魅力はなくなってしまった。
カミーノの5Fにオープンした当時が非常に懐かしい、
当時はBeatlesのレコードをチェックするだけでも1時間は要したものだが、今は数分で決着がついてしまう。

WITHビルを出たあとは、営所通にあるといわれるレコード店(WALK ON)を探しに行く。
前回は東中通の東側を探して見つからなかったため、今回は西側を探索。
しかしそれらしい店は全く見当たらない、今日も無駄足に終わってしまった。
あとで調べたら、やはり東中通の東側にあったみたい。
そうこうしているうちに目の前に学校が見えてきた。寄居中学校である。
そうか、横田めぐみさんがいなくなったのはこの附近なのか・・・。
繁華街と目と鼻の先くらいの場所じゃないか。

県庁へ向かう
このあと東中通にある中古レコード店や、電鉄の県庁前駅跡地などを眺めながら、
ゆっくり歩いて「競技場前」まで行き、中央循環線の県庁行きに乗車する。
来たバスは新潟22か・872、西部営業所所属の「なまず」であった。
今年の夏に村上に転属してきた車両(871)の元僚友であろうか。
そして15:40に県庁に到着、しばしの休息。日が陰って徐々に寒くなってきた。


復路 県庁16:20発

往路と同じ車両、同じ運転手。定時に発車、乗客は私1名。左最前部の「マニア席」に乗車する。
眺めは良いが足を伸ばせないために若干窮屈な印象。
さすがに最前部だけあってエンジン音も気にならず極めて快適な走行。
前部に何やらテーブル状のものが設置されているが目的は不明。
「がんセンター前」で2名、「古町」で8名、「万代シテイバスセンター前」で5名乗車。
夕方の便とあって徐々に賑わってきた。
このあと「明石一丁目」から1名乗車、それがいわゆる
他人迷惑なオヤジである。

車内は17名ほどしか乗ってなく、どこでも自由に座れる状態であるにもかかわらず、
「おお、ここにしよう」と、私の隣に座ってくるではありませんか。
そしていきなり
「どこまで行きますか?」と聞いてくるので「村上までです」と答えると、
「私も村上なんですよ」と言って、とたんに残念そうな顔つきに。たぶんマニア席に座りたかったに違いない。

「私は今日初めて乗ったんですけど便利ですね」とか、その程度の会話のうちは良かったのだが、
「以前は白鳥が2本ありましたけど今は直通列車がなくて・・・云々」
「このあいだもJRに文句言って来たんですよ、そしたら飛行機に乗るお客さんが多いから
廃止にしたんだって・・・、JRのサービスが悪いからみんな飛行機に乗るんですよ、ねえ・・・」
と。

「ねえ、と言われても・・・、めんどくさいオヤジに捕まったなあ、こっちは運行状況や
乗客数などをチェックしている最中なのに・・・」と思いつつも、
無視する訳にもいかないので「はあ、そうですね」と適当に返事を。

すると
「新潟から大阪まで行くには富山か金沢で乗り換えなきゃいけないですよ・・・云々」

「そんなこと分かってるっちゅうに・・・、それに何でいきなり隣に座って来て、見ず知らずのオレに
JRの不満を聞かせなきゃいけないんだ?言ってることは分からんでもないが・・・、
それに座るとこは他にいくらでもあるし、第一、運転席のすぐ近くでワーワー言ったら
運転手さんが集中できないだろーが!」

「飛行機で行くと昔とはルートが変わってて、生駒山の上を通るんですよ」

「おっちゃん、バスマニアなの?鉄道マニアなの?航空マニアなの?・・・」

そしたら今度は
「朝のバスで来て、行くとこないから中央郵便局のロビーで待ってたんですよ。
そしたら局員が何かお探しですかと聞くので、いやバスを待ってるんですと答えたんですよ。
いつもはATMの近くの椅子で局員が記念切手を売ってるんですが、
今日はいなかったから、その椅子に座って待ってたんですよ・・・」


「そうか!おっちゃん郵便マニアか!」

紫竹山ICを過ぎて亀田バイパスに入った頃「このバイパスは昔からあるバイパスですか?」と。

昔からあるバイパスってなんのこっちゃと思いつつも「はあ・・・、そうです」と答えると、

「左手に競馬場が見えて・・・云々」、

「それは新新バイパスだっちゅうーの!」

さらに新潟亀田ICのランプウェイを上っている最中に
「どこにお勤めですか?」と聞いてくるので、
小さな声で「村上市内です」と答えると
「村上市役所ですか?」と、ほとほと疲れてしまいました。

運転席のすぐ近くでワイワイやられて運転に支障が出るといけないので、
なるべく小声で最小限の相鎚を打つ程度にとどめていたのだが、一向にお構いなしの様子。
おまけに高速に入ってまで大声で話しているので、暗くなって来たのを良いことに寝たフリをすることにする。

そしたら今度は運転席の真後ろに座った小学生の2人組に話しかけ始めたのである。
なにやら発電の話を始めたと思ったら
「私は三面発電所に30年勤務したんですよ・・・云々」

「そうか、それで充電しすぎて、いま放電してるのか!」

挙句の果てに運転手さんを指して、
「この人、お父さんか?」って、
「違うっちゅーの!」

その小学生は「加治川・紫雲寺」で下車したため、再びの攻撃(口撃)のキケンを感じた私は、
そのまま寝たフリを通したのは言うまでもありません。

そしたらいきなり何かが光ったではありませんか。どうやらそのオヤジが車内でフラッシュ撮影した様子。
どっち向きでフラッシュを焚いたかは分からなかったが、高速走行中になんてことをするんだ!
しかも最前列で!もしも前向きに焚いたとしたら一瞬フロントが真っ白になるんだぞ!

こうして寝たフリをしながら各停留所の通過時刻をチェック、「加治川・紫雲寺」は2分遅。
「聖籠・新発田」を通過した後、料金所で高速料金1600円を支払い一般道へ。
中条地内の国道7号の4車線区間では追い越し車線を走行し、乗用車を一気に抜き去る。
しかしそれでも遅れは増す一方。やはりこのダイヤ、キツそう!

結局「中条」3分遅、「坂町」6分遅。「九日市」8分遅、
やはり国道区間の道路状況による影響が大きいようです。
しかし「九日市」から「長井町」までは14分も取ってあるために一気に遅れを取り戻し、
「長井町」到着時には遅れを2分にまで回復していました。

終点の「村上営業所」まで乗っても良かったのですが、
「ご自宅はどちらですか?」とか始まるといけないので、
自宅からいちばん近い「長井町」で下車することにしました。


乗ってみての感想

今日は祝日でしたので、通常の土日とは若干条件が異なると思いますが、
今日のような運行状況ならば非常に快適といえるでしょう。
また降車可能な区間に入ると、比較的ダイヤがゆっくり組まれているようです。

これは降車の際の両替や、完全に停車してから席を立つように呼びかけている関係で、
停車時分に余裕をとってあるためと思われますが、
その結果、途中での多少の遅れは最終的には吸収できる仕組みになっているようです。
ただし平日の朝夕など、ラッシュの時間帯においては遅れは回避できないことでしょう。
この点は村上線に限らず、どの路線にも言えることだと思います。

またダイヤ自体に関しては相当「キツイ」印象を受けました。
詳しくは書けませんが、日東道の70km/h制限の区間を正直に走っていたら毎日大幅遅延に違いありません。
冬場は大丈夫なんでしょうか。このへんはぜひダイヤの見直しを行なって欲しいものですね。

料金については村上〜新潟間が1000円と、高いか安いか意見の分かれるところでしょうが、
両替の必要がないのは助かりますね。でも料金箱に1000円札を入れるのは若干違和感がありますが。

いまはまだ運行開始したばかりで乗客も少ないですが、ぜひ新潟(特に万代や古町)へ買い物の際には
利用してみてはいかがでしょうか。繁華街まで直行できる便利さは電車では味わえないものがあります。


2002年10月21日に開業当時のダイヤ

村上(営)発 → 新潟(県庁)着 新潟(県庁)発 → 村上(営)着
 7:00 →  8:30 月〜金 10:20 → 11:50 毎日
 8:00 →  9:30 毎日 12:20 → 13:50 毎日
 9:00 → 10:30 土休日 16:20 → 17:50 土休日
13:00 → 14:30 毎日 17:20 → 18:50 月〜金
15:00 → 16:30 毎日 18:20 → 19:50 毎日

 


過去の迷惑オヤジ

何年も前の話ですが下りの快速「ムーンライト」号が上越線の大雪で越後湯沢打ちきりになり、
越後湯沢から新幹線に乗車して新潟まで来た事がありました。
しかし白新線の列車も一向に動かず、やっと動いたと思っても新崎で3時間も抑止をくらう始末。
そこで登場したのが「迷惑オヤジ」で、「どちらへ行かれますか」とか色々と話しかけてきたのです。

その程度の会話であれば何の問題もありませんし、むしろ歓迎すべきことなのですが、
「村上へ帰る途中です」と答えると、村上の歴史やらなんやら延々と語り始めたではありませんか。
しかも歴史上の人物総動員で、地元の人より遥かに詳しい様子。

「あのー、ゆうべ、ムーンライトで殆ど寝てないんで・・・」と、それとなく言っても全くお構いなしの様子。
一通り語り尽くしたあとで連絡先までもらってしまいました。ほとほと疲れました。

今日、高速バスで出会った「迷惑オヤジ」も同一人種と思われますが、
せっかくくつろごうと思っているさなかに、この手の人種に遭遇すると快適な旅も台無しになってしまいます。
旅の途中での見ず知らずの人との出会いや会話は確かに楽しいものですが、
時と場合を考えて欲しいものですね。皆さんもこんな経験ありませんか?

でも自分でも知らず知らずのうちに他人様に迷惑をかけていることもないとは言い切れない訳でして・・・、
やはりお互いマナーには気を付けて快適な旅を楽しみたいものですね。
それにそういう人がいるからこそ、こういったページのネタが作れる訳でして、
ある意味、感謝しなければいけないのかも知れません。

自分自身も「迷惑オヤジ」にならないためにも・・・。


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2002年11月23日
安良町交通博物館 管理人:安良町経由村上行き

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