ザ・ビートルズ 来日45周年記念 THE BEATLES THREE NIGHTS IN A JUDO ARENA

ビートルズが来日したのは1966年6月29日の午前3時50分のことです。当初は6月28日の夕方に到着する予定でしたが、
台風4号の影響で大幅に遅れが発生し、翌6月29日のまだ夜も明けきらぬ時刻に到着することになりました。
そして6月30日に1回公演、7月1日と2日にそれぞれ2回の公演を行ない、7月3日に次の公演地であるマニラへ向けて旅立って行きました。

3日間で5回行なわれたステージのうち、完全版として映像や音声が残っているのは、6月30日に行なわれた来日第1回目の公演と、
翌7月1日の昼の部(通算2回目)の公演の2回分と言われています。日本テレビでは6月30日の公演を収録、翌7月1日の午後9時から放送する予定になっていました。
ところが種々の事情によって6月30日に収録されたビデオテープはお蔵入りすることになり、日本テレビでは急きょ7月1日の昼の部の公演を収録、その日の夜に放送することになりました。
そして実際の放送に使用した7月1日のテープはマネージャーのブライアン・エプスタインが持ち帰り、使用されなかった6月30日の公演のテープが日本に残されたと言われています。

6月30日の公演、7月1日昼の部の公演、両公演ともに今では公式には「見ることができません」。正確に言えば日本にテープが残された6月30日の公演は
過去にビデオテープ(VHS及びベータ)、それにレーザーディスクでも公式に発売されていたことがありましたが、現在では全て廃版になっています。

現在では両公演ともにコレクターズDVDと呼ばれるDVDで見ることができますが、過去に公式発売されていた6月30日バージョンは比較的良好な画質で見ることができるのに対して、
エプスタインがテープを持ち帰ったとされる7月1日バージョンは従来劣悪な画質のものしか見ることができませんでした。
しかし最近になって高画質を謳うDVDが次々と発売されています。このコーナーでは7月1日のバージョンに絞って、画質や音質などの検証を行なってみたいと思います。

先ず最初にお断りしておきますが、ここに掲載しているDVDは一部を除いてコレクターズ商品、いわゆる海賊版商品ですので、
積極的に入手をお奨めするものではありませんし、マスターに起因するノイズ等はあって当たり前というレベルであり、
評価が10点満点中10点であったとしても、あくまでコレクターズ商品レベルでの評価ですので、
公式発売されている類似商品とは全く別物であるということをご理解いただきたいと思います。


また画質に関する評価は再生機やテレビの大きさや画質調整、視聴距離などによって大きく異なってくると思います。
今回の評価に関しては下記の機器及び視聴距離による評価とさせて頂きました。

●再生機 PANASONIC DMR-BW830  ●テレビ  SONY KDL-32J5000  ●視聴距離 1.5m


なおソースによってはレコーダーとテレビをHDMI接続するよりも、ピンコードなどで接続する方がノイズ感が少なく感じられるれることがありました。
本文中の画像はPCに内蔵されているWinDVDで再生中に一時停止をして取り込んだもので、画質調整等は行なっていません。



(1)THE BEATLES LIVE IN JAPAN 1966 MEMORIAL (misterclaudel mcdvd-14〜15)

misterclaudelの最新作はおなじみ1966年の武道館公演です。2枚組みのプレスDVDで、DISK1には6月30日の公演がベータビデオバージョン、放送バージョン、
レーザーディスクバージョンの3バージョンが収録されており、音声もオリジナルバージョン、リマスターバージョン、擬似ステレオバージョンの3バージョンが収録されています。
そして鑑賞の途中で自由に音声を切り替えることが可能になっています。7月1日の公演は米国のコレクターズサークルバージョンとFILMバージョンの2バージョンを収録、
音声はオリジナルバージョンとリマスターバージョンの2バージョンを収録、こちらも鑑賞中に切り替えが可能となっています。
公演の映像以外にもドキュメンタリー映像も収録されており、全公演収録後にステージの後の「BEATLES」と書かれた電飾付きのパネルが倒されるシーンも収録されています。

(ジャケット画像クリックで拡大画像をご覧いただけます)
DVD 2枚組 参考価格6000円

   


Rock And Roll Music


If I Needed Someone


Nowhere Man


I'm Down


(7月1日の公演限定の評価です)


(画質)
非常に発色が良くきれいな映像ですが、解像度が高めであるせいか、全体的にノイズっぽく粗い映像に見えます。
再生機側でノイズリダクションなどを使用して画質を補正してやると見やすくなると思います。
全編を通じて画質は安定している方ですが、ところどころ色むらが発生しているほか、画面上端部のちらつきがやや気になります。
ソースの異なる映像を挿入するなどの場面もなく、最後まで単一のソースで構成されており、
現時点では最良の画質といって差し支えないと思いますが、淡い発色でノイズ感の少ないHERCULES盤と好みが分かれるかも知れません。
EHエリックのオープニングのMCからエンディングのMCまでノーカットで収録されています。

(音質)
このDVDにはオリジナル音声とデジタルリマスター音声との2種類が収録されていて、再生中に切り替えることが可能です。
オリジナル音声の方はややこもり気味、一方のリマスター音声は高音が強調されすぎでやや疲れる印象があるほか、
リマスター音声の方は歪みや音割れ、ノイズが目立つ箇所があります。
また私の入手した商品の不良か仕様かは分かりませんが、リマスター音声を選択している際、
オープニングのMC、デイトリッパーの前のMC、イエスタデイの前のMCの3箇所で数秒間オリジナル音声が再生される不具合が確認されました。

(評価)
映像 8点(10点満点) 解像度が低くても良いのでもう少しノイズ感が少なければ良かった思いました。
音声 7点(10点満点) 個人的にはオリジナル音声とリマスター音声の中間的な音質だったら良かったと思いました。
総合評価 7点(10点満点) リマスター音声の不具合がかなり気になります。


(2)THE BEATLES FIVE NIGHTS IN A JUDO ARENA LIVE IN JAPAN 1966 UP GRADE VERSION (HERCULES HCD-0802001)

以前同レーベルからリリースされたTHE BEATLES LIVE IN JAPAN 1966(HCD-001)がリニューアルされて再登場しました。
今回は公式発売されていた6月30日のレーザーディスクバージョンも収録されています。6月30日公演の「アーリー・テスト・エディット」と呼ばれるバージョンは
恐らく1988年に放送されたテレビバージョンだと思われますが、曲間でブレイクの入るブツ切りバージョンです。
7月1日公演は"FIRST TRANSFER FROM MASTER VIDEO"という触れ込みですが、"MASTER TAPE"ではなく"MASTRE VIDEO"という怪しげな表現が取られています。
このDVDはYAHOO!オークションで購入したものですが、個人出品ではなくコレクターズショップのようでした。
価格は1500円と格安でしたが、プレス盤ではなくDVD-Rのようです。ただしコピー盤かどうかは良く分かりません。

(ジャケット画像クリックで拡大画像をご覧いただけます)
DVD 1枚組 参考価格1500円

Rock And Roll Music


If I Needed Someone


Nowhere Man


I'm Down


(7月1日の公演限定の評価です)

(画質)
ソースの異なる映像を挿入するなどの場面もなく、最後まで単一のソースで構成されていますが、
オープニングのチューニング部分で致命的なカットが行なわれています。
チューニングが始まっていよいよこれからだと気分が高まろうとしている瞬間で映像と音声がカットされ、
いきなりロック・アンド・ロール・ミュージックが始まってしまうシーンは正直言ってかなり萎えてしまいます。
全体的に淡めの発色で解像度も低めですが、映像自体は終始安定しており、(1)のmisterclaudel盤で見られた画面上端部のちらつきも殆ど見られません。
ノイズ感も少なめですので安心して見ることのできる映像と言えると思います。

(音質)
中音域にメリハリがあって非常に聴きやすい音質です。若干音が割れ気味に感じる部分もありますが、気になる程ではありません。
ロック・アンド・ロール・ミュージックの冒頭でやや大きめのドロップアウトが確認されますが、それ以外は安定している方だと思います。

(評価)
映像 7点(10点満点) (1)のmisterclaudel盤と好みが分かれると思いますが、発色ではこちらがやや劣るといった印象です。
音声 8点(10点満点) やや割れ気味ではあるものの非常に聴きやすい音質で明瞭度も高めです。
総合評価 7点(10点満点) 発色の鮮やかさでは(1)のmisterclaudel盤、映像の安定度ではこちらのHERCULES盤といったように完全に好みが分かれると思います。


(3)THE BEATLES CONCERTS AT BUDOKAN (DPRO-RMDVD003a)

ジャケット写真は鮮明そのもので、一見するとキャピトルの正規盤のようにも見えます。
プレスDVDで、万代シテイにKING KONGがあった当時に購入したものです。

(ジャケット画像クリックで拡大画像をご覧いただけます)
DVD 1枚組 参考価格4800円

Rock And Roll Music


If I Needed Someone


Nowhere Man


I'm Down


(7月1日の公演限定の評価です)



(4)THE BEATLES YESTERDAY IN THE FAR EAST 1966 TOUR DVD (FAB PRODUCTIONS)

このDVDはヤフオクで購入したものですが、ジャケット写真が不鮮明なことからオリジナル盤ではないものと思われます。
6月30日の公演は2バージョンが収録されています。

(ジャケット画像クリックで拡大画像をご覧いただけます)
DVD2枚組

Rock And Roll Music


If I Needed Someone


Nowhere Man


I'm Down


(7月1日の公演限定の評価です)

(画質)
このDVDは画質が非常に良いパート、普通のパート、少し悪いパートの、大きく分けて3つのパートに別れています。
非常に良いパートは冒頭のチューニングシーンやロック・アンド・ロール・ミュージック、イエスタデイ、
少し悪いパートはペイパーバック・ライター、それ以外は普通のパートに属すると思います。

しかし画質の差は小さく、自然な形で画質が変化して行くため、いかにも複数のソースをつなぎ合わせて作ったという感じはありません。
例えるならばビデオテープの特定の箇所を繰り返し再生したためにそこだけ画質が劣化しているような感じなのですが、
ロック・アンド・ロール・ミュージックの冒頭の部分だけは頻繁に画質が変化するために若干違和感が感じられます。
ペイパーバック・ライターは若干きたない画質に感じられますが、前述の通り、極端な画質の差は感じられません。
画質が非常に良いパートは、画面の周辺部分に画質の劣化が認められます。

(7)のSWEET APPLE盤と同様にアイ・フィール・ファインの1番のサビの部分で徐々にトラッキングが乱れて行って、
画面が白っぽくなり一瞬音声が途切れる部分がありますが、SWEET APPLE盤は完全にトラッキングがずれてしまっている感じなのに対して、
こちらは辛うじて持ちこたえているといった印象があります。
HERCULES盤で見られたようなオープニングのチューニング部分でのカットはありません。

(音質)
ロック・アンド・ロール・ミュージックの冒頭でやや大きめのドロップアウトが確認されますが、それ以外は安定している方だと思います。

(評価)
映像 8点(10点満点) 曲によって画質の差はみられますが、バランスも良く見やすい画質だと思います。
音声 8点(10点満点) 若干のドロップアウトはありますが明瞭度も高く、聴きやすい音質だと思います。
総合評価 8点(10点満点) 画質と音質のバランスが良く、個人的にはかなり気に入っています。


(5)THE BEATLES LIVE IN JAPAN 1966 (PAIR SEAT)

このDVDはペアシートという通販業者のオリジナル商品を購入したものですが、
6月30日の公演はレーザーディスクをマスターとして、画質と音質に補正を加えたバージョンや、
シェアスタジアム公演のフィルムバージョンなどが収録されています。

(ジャケット画像クリックで拡大画像をご覧いただけます)
DVD 2枚組 参考価格2980円

Rock And Roll Music


If I Needed Someone


Nowhere Man


I'm Down


(7月1日の公演限定の評価です)


(画質)
全体的に発色が非常に良く鮮やかな映像と言う印象がありますが、その分、色のにじみも多く、ノイズ感も多く感じられます。
コントラストも強めで、暗い部分が潰れ気味になっているのがやや残念ですが、画像自体は結構安定している方だと思われます。
SWEET APPLE盤などで見られるアイ・フィール・ファインの1番のサビの部分でのトラッキングずれのような現象は発生せず、何事もなかったかのように過ぎて行きます。
イエスタデイの最後の部分で映像と音声が同時に大きく乱れる箇所がありますが、瞬間的なので致命的とまでは言えないと思います。
それ以外は時々ドロップアウトのような白いノイズが現れる程度で、非常に安定した映像と言えるのではないでしょうか。
最初から最後まで単一のソースを使用しているものと思われ、チューニング部分でのカットも行なわれていないため、安心して見ることができます。

(音質)
明瞭度は高くありませんが、イエスタデイで一瞬音声が乱れる以外は非常に安定しており、
ロック・アンド・ロール・ミュージックの冒頭部分での音声のドロップアウトもありません。

(評価)
映像 7.5点(10点満点) 色のにじみも多く、ぺったりとした画像ですが、何故か引き込まれるものがあります。
音声 7.5点(10点満点) 明瞭度は高くありませんが、安定度も高く聴きやすい音質です。
総合評価 7.5点(10点満点) リマスターやソースの異なる映像の挿入を行なっていないことや、映像と音声が比較的安定していることもあって、繰り返し見たくなる内容です。


(6)THE BEATLES IN JAPAN 30 JUNE / 1 JULY 1966 (BEAT DVD 2)

このDVDはヤフオクで購入したものですが、ケースは付属しておらず、ディスク本体とジャケットのみが海外から送られてきました。
6月30日と7月1日の武道館公演のほか、エド・サリバンショーの映像などが収録されています。

(画像クリックで拡大画像をご覧いただけます)
DVD 1枚組 参考価格900円

Rock And Roll Music


If I Needed Someone


Nowhere Man


I'm Down


(7月1日の公演限定の評価です)


(7)THE BEATLES IN JAPAN 1966 (SWEET APPLE SA-660701)

2001年にSWEET APPLEからリリースされたこのDVDにはドキュメンタリー等は全く収録されておらず、7月1日のコンサート部分のみが収録されています。
シンプルで素っ気ないレーベルデザインですが、プレスDVDのため信頼性は比較的高いと思います。

(ジャケット画像クリックで拡大画像をご覧いただけます)
DVD 1枚組

Rock And Roll Music


If I Needed Someone


Nowhere Man


I'm Down


(7月1日の公演限定の評価です)

(画質)
ソースの異なる映像を挿入するなどの場面もなく、最後まで単一のソースで構成されており、
HERCULES盤で見られるようなオープニングのチューニング部分でのカットは行なわれていません。
発色はHERCULES盤に比べて更に淡めで、全体的にザラついた画質です。
ノー・ウェア・マンからペイパーバック・ライターにかけて画像の上下のブレが見られるほか、
アイ・フィール・ファインの1番のサビの部分や、ペイパーバック・ライター、アイム・ダウンの途中などで、
トラッキングずれのように画像と音声が同時に大きく乱れる箇所があります。

(音質)
HERCULES盤よりも若干こもった感じの音質ですが、比較的聴きやすい音質です。
ロック・アンド・ロール・ミュージックの冒頭でごく小さなドロップアウトが2箇所確認されますが、気になる程ではありません。
ただ画質に関する評価の通り、音声が大きく乱れる箇所が散見されるのが大きなマイナスポイントです。

(評価)
映像 5点(10点満点) 画質自体はまずまずですが、大きな乱れが散見されるのがマイナスポイントです。
音声 5点(10点満点) 聴きやすい音質ですが、画質同様に大きな乱れが散見されるのがマイナスポイントです。
総合評価 5点(10点満点) ジャケットの印刷の質感は非常に良好ですが、内容はやはり数年前のものといった印象です。


(8)THE BEATLES LIVE (DV-061)

このDVDは「ひらせい」のワゴンセールで購入したものですが、ジャケットにはハングルが書かれており、韓国で正規発売されたもののようです。
武道館公演以外にも、ワシントンDC公演、シェアスタジアム公演、パリ公演の、全部で4つの公演が収録されています。

(ジャケット画像クリックで拡大画像をご覧いただけます)
DVD 1枚組 参考価格1480 円

Rock And Roll Music


If I Needed Someone


Nowhere Man


I'm Down


(7月1日の公演限定の評価です)


安良町交通博物館