ハードオフ(だけどは限らない)お買物日記(2006年10月29日)
 
SONY FM/AMチューナー ST-3950編


SONY FM STEREO/FM-AM TUNER ST-3950 (1976年発売 定価49,800円)
2006年10月3日 Yahoo!オークションで入手(1,100円)

この機種は1976年頃に発売されたSONYの中級機種で定価は49,800円、当時下位機種のST-1950を使っていた管理人にとってはあこがれの機種でした。グリーンの文字の背後で怪しく光る赤いLEDの指針とSTEREOランプ、滑るように動くチューニングダイヤル、サウンド北越の店頭で触ってみては「ほしーなー」と思っていたものです。でも2万円安いST-1950を買うのが精一杯でした。あれからちょうど30年、今年に入ってからYahoo!オークションで2台のST-3950を入手することができました。今回ご紹介するものは2番目に入手した品物です。

    

出品者の説明によればT字アンテナによる短時間のチェックでFMステレオ受信が可能だったとのこと、ただし局によってはステレオにならない場合があるので感度が落ちている可能性があるというコメントが付けられていました。また短時間の簡単なチェックなので完全ジャンク扱いでお願いしますということでした。まあそのへんは管理人も100も承知の上ですし、30年も経過した品物が正常に動作する方が珍しいと思うわけです。


背面は結構年季の入った感じです。

通風孔の付近を中心としてサビの発生がみられる他、全体に汚れた感じ。
FMアンテナ端子はF栓も装備されていますが、300Ω端子がネジ式なので操作性は悪いです。



到着〜動作確認

10月3日に品物が到着、非常に丁寧に梱包されており出品者の人柄が偲ばれるようでした。外観は正面パネルはところどころ黄ばんでいる箇所が見受けられる以外は大きな傷もなく良好なコンディション、天板や側板もまずまずの状態、背面はそれなりに汚れていましたが、全体的には30年という時代経過を感じさせない状態を保っていました。早速アンテナを繋いで動作確認を行ないましたが県域FM放送3局が良好に受信できたほか、コミュニティーFMのFM新津やFM新発田も雑音交じりながらも受信可能、81.8MHzでは遠く離れたFM長野も受信可能です。心配された感度低下は殆ど感じられませんでしたが、シグナルメーターが5段階のうちの3までしか振れません。でもメーターの振れ具合はいくらでも調整できるので無問題。しかし…やはり予想通り若干の不具合が発生しました。主に電源投入直後など、瞬間的にシグナルメーターが下がり、音声が一瞬途切れるという現象が発生したのです。その現象が起こる前後には微細ですがチリチリというノイズも発生しています。ある程度時間が経つと動作も安定し問題なく何時間も動作するようになるのですが、何かの拍子に瞬間的(コンマ何秒単位)に音が途切れたり、まあ実害は殆どないのですが精神衛生上よろしくないということで早速内部のチェックを行なうことにしました。

カバーを外してみる

内部のチェックとはいっても電気的な検査などの知識は持ち合わせていない管理人ですから目視チェックが主になるのは言うまでもありません。先ずはこの手の製品の故障の定番ともいえる電解コンデンサーの確認です。液が漏れ出しているものはないか、頭が膨らんで爆発寸前になっているものはないか等、目視で確認して行きます。でも怪しい部品は見られません。でもコンデンサーの容量抜けとうことも考えられますから主要な電解コンデンサーを新品に交換することにします。中くらいのグレードの電解コンデンサを11本、約1200円相当を通販で購入、早速交換作業を行ないました。しかし…、やはり瞬間的な音切れは相変わらず発生します。ただミューティングをOFFにしておくと音切れの頻度は低下します。つまり入力レベルが瞬間的に低下しミューティングレベルより低くなるために音切れが発生するということのようです。コンデンサ交換では音切れは解消しませんでしたがチリチリノイズがなくなり、音質も高域が伸びたような気がします。

主要なコンデンサを交換しただけで効果が出ないのなら、いっそ全てのコンデンサを交換してみようかとも考えました。でも数十本の小さなコンデンサの定格を確認する作業だけでも気が遠くなりそうなのでパス、もう一度目視確認を行なうことにしました。今度はルーペとライトを使って。そしたら足が黒く変色し、粉を噴いているようになっているトランジスタが1本見つかりました。2SC710というトランジスタです。このトランジスタは手持ちがないので以前に入手した同型機から使えそうなものを移植することにしました。あとで調べたらこの2SC710というトランジスタはSONYのスカイセンサーシリーズにも多用されているのですが、リード線が銀メッキされているせいか、劣化を起こしやすい問題児であるということが分かりました。

新品に交換した電解コンデンサ(写真左)と、他機から移植した2SC710トランジスタ(写真右)
    



内部は比較的キレイな状態が保たれていました。



高級機になると7連とか9連とかのバリコンが使われていますが、この機種は4連、中級機の証です。

バリコンの近くにも2SC710のトランジスタが使われていますが、この付近は基板が二重構造になっていて交換が難しいようです





FMアンテナ入力は300Ωと75Ω(F栓)の2系統です。


このネジ式の300Ω端子というのはマイナスドライバーがないと非常に使いにくいものです。

10月18日に2SC710のトランジスタを1個交換し恐る恐る電源を入れて見ました。5分経過、10分経過…音切れは発生しません。その後、1日に一回の割合でチェックを行ないましたが、10日経過した現在でも音切れは発生していません。果たしてこれで直ったものかどうか分かりませんが、まあこれで良しとしようと思います。音質的にはあくまで個人の印象ですがトリオのKT-8300に似た印象がありました。KT-8300よりわずかに高域が低下している印象がありますが、低域はST-3950の方が良く出るようで、全体の雰囲気というか空気感というか、そのへんはST-3950の方が好みかなと、個人的にはそういう印象を持ちました。


今回交換した部品です。

25v1000μFのコンデンサの手前にあるのが2SC710。リード線はもっと真っ黒な状態でした。。
このトランジスタは他に数本使用されていますが、他のものは比較的キレイな状態でした。

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  2006年10月29日

安良町交通博物館 管理人:安良町経由村上行き

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